SUPER GT第2戦富士で1-2フィニッシュした日産チームの立役者! 新総監督は世界初のエンジンを生み出したエンジニアです【Key's note】
世界初の可変圧縮比エンジンを生み出したエンジニアでもある
新たに総監督に就任したのは、長く日産のエンジンを開発してきた技術畑の木賀新一氏です。最近では、「エクストレイル」に搭載された世界初の可変圧縮比VCターボエンジンの開発責任者として脚光を浴びました。そんな木賀氏が、世界に誇るエンジンの開発を終え、ニスモGT500の総監督に転身したのです。公式な肩書きは、日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社の専務執行役員です。 エンジン開発の責任者とレーシングチームの総監督は、ともすれば畑違いのようにも感じますが、開発責任者は自ら図面を引くだけではなく、開発に携わった数千人にもおよぶメンバーの取りまとめ役でもあります。その意味では、レーシングチームのスタッフを適材適所に配置し、勝利を目指すことと大きな違いはありません。 そもそも木賀氏の前任である松村基宏氏も、日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社の取締役であり工学博士でもあります。技術的ノウハウに長けているだけでなく統率力があります。ニスモは、技術で実績を残した人材を総監督に配置したのです。 さらにさかのぼれば、日産GTチームの総監督を長く務めてこられた柿元邦彦氏は、元東海大学工学部教授でした。伝統は受け継がれているのですね。 ちなみに木賀氏は日産名車再生クラブ代表として、かつて活躍した日産のモータースポーツマシンの再生にも尽力してきました。最近は1980年代にWRCで活躍した「パルサーGTI-R」の再生を手がけています。VCターボエンジンはモータースポーツ用パワーユニットとしては無縁のようですが、そもそもモータースポーツに対する洞察力があったということなのでしょう。 ともあれ、木賀氏は総監督に就任してすぐに1位-2位の完全勝利を成し遂げたのです。モータースポーツに欠かせない「何かを持っている」のでしょうね。
木下隆之