なぜプーチンは長期政権を維持できるのか...意外にも、ロシア国内で人気が落ちない「3つの理由」
プーチンを支持するロシアの人々は意外と多い
新たな政党が擁立される気配はなく、プーチン大統領による強権政治には終わりが見えていません。ウクライナ侵攻に陥ってもなお、プーチンについていくロシアの人々。 無論、反対勢力もいますが、「プーチンがいい」という人は意外と多いのです。この辺りは、日本や西側のメディアばかりを見ていてはわかりづらい点です。 このように強権政治が続く理由を、プーチン側ではなく「ロシアの歴史や民族性」という視点でも考察してみましょう。 <権威主義ロシアである理由1:強いリーダーを求める皇帝型支配> 理由その1として、徹底的に強いリーダーを求める皇帝型支配の気質があると私は考えます。 日本や西側の価値観から見れば「プーチンは独裁者だ! けしからん!」となりますが、ロシアには強権的なリーダーを求める歴史的な国民気質があります。 西欧から見ると辺境にあるロシアは、もともと「北の外れにある後発国」で「ヨーロッパの辺境」とみなされていました。現代の価値観からすると差別的ですが、17世紀頃までのヨーロッパの見方は、まあ、こんなものでした。 さらに非常にたくさんの国に囲まれているという地理的条件もあり、いつ地続きの西欧列強やすぐそばのスウェーデンなど北欧諸国に攻められるかわからないと、外圧に怯えてきたのです。 怯えは現実となり、ナポレオンやナチスに侵略されていますし、ロシア革命後は、「社会主義を倒せ!」と西側諸国と敵対関係になりました。 厳しい自然環境、他国の脅威など、さまざまな苦難がある風土によって、「国を崩壊させない強いリーダー」を求める気質が培われたのです。 実際に近代のソ連・ロシアの歴史を見てみれば、スターリンを典型として権威主義的な政治家が国を司っており、民主主義の西側とは大きく異なることがわかります。 ゴルバチョフ元書記長だけは例外で、西側と友好的でした。しかし彼ですらNATOの東への拡大には批判的。自伝には「NATOなど西側がここまでやると知っていたら、西側とは妥協しなかった」旨が書かれています。(『我が人生 ミハイル・ゴルバチョフ自伝』) 旧ソ連共産党も現在の統一ロシアも強い政党そのものですし、プーチン大統領はまさに強いリーダー。良し悪しは別として、ある意味「ロシアの皇帝型支配の気質に合った統治」といえます。