発進から停止まですべてバイクがやってくれる? BOSCHの最新電子制御をKTMのプロトタイプマシンで体感
後方から接近する車両との衝突リスクが高いとシステムが判断した場合、自車のハザートを高速で点滅。後方車両に警告を発し、危険な状態にあることを知らせてくれます。 ■EBA(エマージェンシー ブレーキ アシスト)
緊急時のブレーキで、その制動力が不足している時に機能。ライダーの入力に対して、さらに加圧し、衝突のリスクを軽減してくれます。 これら6種の新機能の中、最も革新的なシステムが「ACC S&G」、最も現実的なものが「RDA」だと実感できたため、その印象を中心に記しておきます。 設定した速度を維持しながら巡航できるクルーズコントロールは、とっくに珍しくなくなりました。とはいえ、交通量の多い日本の環境で、その恩恵にあずかれるタイミングはさほど多くなく、「付いているけど使わない」というライダーも珍しくなかったのでは? そんな状況を大きく変えてくれたのがACCで、車体前方に備えられたレーダーが先行車の有無や、その車間時間(≒距離)を検知。設定した車速の範囲内なら加減速もシステムに任せられるため、高速巡航が本当に楽になりました。
高速域からの停止、ゼロ発進から加速までをすべてバイクが制御!?
ACC S&Gは、これをさらに進化させ、一時停止(STOP)とそこからの発進(STOP)もサポート。トランスミッションのAT(オートマチック)機構を組み込んだKTMのプロトタイプ車で、その機能を試させてもらいました。 まずはテストコースの高速周回路で、ACCを起動します。KTMは、すでにこれを1290スーパーアドベンチャーで実装しているため、車間の取り方や、その時の振る舞いに違和感はありません。加減速時のレスポンスは、BMWやヤマハとは異なるKTMならではのもの。メリハリが強く、なにかにつけてスポーティさ優先するメーカーのキャラクターが反映されています。
さて、本題はここから。100km/h前後で先行車を追従していた高速周回路から外れ、低速走行のスペースに入っていきます。車速が60km/h、30km/hとぐんぐん低下する中でも、先行車とは一定の距離を維持。そのままさらに減速し、先行車が止まると、自車であるKTMも近づきすぎることなく、ゆっくり停車。ATゆえ、その時はギヤも自動的に一速までダウンしています。 では、そこからの発進はどうなるか。先行車の動き出しをシステムが検知しても、勝手に自車が発進することはありません。スイッチボックスに備えられたボタンを押す、もしくはスロットルを軽くあおると、ライダーに発進の意志があると判断。先行車の追従を再開するという仕組みです。