ブレイキン・AYUMI選手 年齢の壁を越えて評価される理由 松岡修造が取材
パリオリンピック唯一の新競技「ブレイキン」。10代・20代の若い選手たちが活躍するなか、世界のトップに立つのは、なんと「21歳からダンスを始めた」というBガール・AYUMI選手(40)です。世界から評価されるのはなぜでしょうか。 【画像】「私にしかできないあゆみダンス」世界から評価 ブレイキン・AYUMI選手に聞く
■「ダンスはおそうじスタイル」貫きたい信念
AYUMI選手 「あゆみダンスは、多分私にしかできないダンスですね。パーソナリティとか、自分を表現するダンスが私のダンスだと思います」 松岡さん 「すごいブレイキンしてるね」 ブレイキンは1対1のバトル形式。DJの流す音楽に合わせて、オリジナルのダンスを披露します。跳ねたり、腕や頭で回転したり、迫力のある動きが魅力です。「独創性」「技術力」など5つの項目で審査されます。 そのなかで、AYUMI選手は「独創性」が世界から評価を得ているのです。ダンスは「おそうじスタイル」。「そうじき」「ぞうきん」など、ちょっとコミカルな動きが持ち味です。 AYUMI選手 「昔は、結構『かっこよく踊りたい!』と思っていたんですけど、こんな私でもあったんですよ」 松岡さん 「なんでそんな言い方するんですか」 AYUMI選手 「だって、私のキャラに合ってないです」 「『性格もせかせかしてる』と言われたり、そのおちゃらけている部分がちょっと面白い部分に反映されたり。何年か前くらいから、年齢も重ねて、『いやいや、もういいっしょ』となってきて。もう自分ぽくて、なんかダサかったらダサいでいいと思えてきた」 しかし、体全体に大きく負荷がかかるのがブレイキン。年齢も相まって、常にけがと隣り合わせです。4年前には首にヘルニアを患いました。今も定期的な治療なしでは競技を続けられません。 AYUMI選手には、体にムチを打ってまでも貫きたい信念があります。 AYUMI選手 「なんか私、最近よく『経験値があるっていいですよね』とか言われる。『経験値もアップデートした方がいい』というか。例えば色んなこと今まで経験してきたけど、今の自分は今だから」 松岡さん 「普通、経験っていうと『今まで積み重ねたものを出そう』とするわけですよ。そうじゃないって、『新しいものを掴むのが経験だろう』と」 AYUMI選手 「そうですね。でも経験もめちゃくちゃ大事だし、自分もダンスも、それがあるから今があるというのもすごく分かるんですけど。さらに新しい経験を掴んで、どんどん変わっていく」 「今が大事」という想いが、AYUMI選手を新たな舞台へと導きます。34歳の時、当時は男子しか出場していなかった世界最高峰の大会「Red Bull BC One World Final 2017」に女子で初めて出場。38歳で初めて女子の世界一になりました。 松岡さん 「若い子を見て『私もこういう時代があったな』『ケガしなくていいな』とかの感覚は出てこないですか?」 AYUMI選手 「楽しそうだなとか、体が自由自在に動くとか、いつも思いますよ。『いいなとか、ケガとかなくて』とか思いますけど。でも、その時の良さと今の良さは絶対違うと自分でも思うので。その時の良さを出していることが大事なことと思います」 「本当に20秒先のことは分からないと思っているんです。その時に出来ることは、その時に出していきたいと思っているし。ちょっとでも違うものをやってみたいなとなって、楽しくなってくるので。それに年齢は関係ないのかなと思う」