「町田のおとぎ話は今、広島の脅威にさらされている」米ESPNの敏腕記者が熾烈なデッドヒートに見解「確実にタイトル獲得に迫ってきた」
エース大橋移籍も関係なし。「平均得点は2.6に伸びている」
9月21・22日に開催されたJ1第31節。勝点58で首位の町田は札幌と0-0で引き分け。同56で2位の広島は横浜に6-2で大勝。この結果、町田と広島は勝点59で並び、得失点差で上回る広島が首位に返り咲いた。 【動画】神様仏様トルガイ様! シュート9本で7得点! J1優勝争いの熾烈なデッドヒートに、米大手ネットワーク『ESPN』に寄稿するアジアサッカー通のガブリエル・タン記者も注目した。「町田ゼルビアのおとぎ話は今、勢いづくサンフレッチェ広島の脅威にさらされている」と見出しを打った記事で、「優勝候補として確固たるものとなっているのは、ゼルビアではなくサンフレッチェだ」と見解を示す。 「ヴィッセルは上位2チームからわずか1ポイント差で追い上げており、軽視すべきではない。また、アントラーズも1試合少ないため、勝利すれば首位との差を6ポイントに縮められる可能性がある。 しかし、サンフレッチェがシーズン途中の選手退団という事態に対処しなければならなかったにもかかわらず、一時は5位にまで落ち込んでいた12ポイントの差を、ほとんど苦労せずに縮めてきたことは注目に値する」 シーズン前半に抜群の得点力を発揮していた大橋祐紀は、今夏にイングランド2部のブラックバーンに移籍。それでも広島の攻撃力は低下せず、タン記者も「どういうわけか、かつての名ストライカーがチームを去って以来、彼らのリーグ戦平均得点は1.8から2.6にまで伸びている」とし、こう続ける。 「トルガイ・アルスランはやや控え目な役割を担っているため、完全に同等の代役とは言えないが、日本に移籍してからすでに7ゴールを決め、サンフレッチェの現在のトップスコアラーとなっている。ハンブルクとウディネーゼの元スター選手である彼の獲得は、見事な一手であることが証明された。 大橋の後継者となるのは、最近加入したポルトガル代表のゴンサロ・パシエンシアで、彼も同様に素晴らしい経歴の持ち主だ。過去にポルトとフランクフルトでそれぞれトップレベルでの成功を味わってきた」 とりわけFW陣の充実ぶりにフォーカスする。 「パシエンシアの獲得は、サンフレッチェがさらなる層の厚さを誇ることを意味しており、ドウグラス・ヴィエイラが唯一のストライカーの代わりとなり、圧勝したマリノス戦ではピエロス・ソティリウをインパクトのある交代選手として起用する余裕さえある」 記事では、守備陣やサイドの選手にも言及したうえで、「ピッチのいたるところに質の高い選手が揃っているため、サンフレッチェがゆっくりとではないが確実にタイトル獲得に迫ってきたのも不思議ではないだろう」と評する。 過去に3度のJ1制覇を経験している広島は、2015年以来の歓喜を味わえるか。タン記者は「ゼルビアのタイトル獲得と同じような奇跡ではないかもしれないが、シーズン残り7試合で、サンフレッチェは2024年に自分たち自身のおとぎ話のような結末を描くことだけに集中するだろう」と展望し、「まずは今週土曜日のゼルビア戦から」と締めくくる。 次節、28日に首位広島と2位町田が激突。頂上決戦の舞台はエディオンピースウイング広島だ。 構成●サッカーダイジェストWeb編集部