「“納期を守れ”発言を忘れていないからな」サントリーHDが新浪氏から創業家・鳥井氏に社長交代 「同族経営回帰」が称賛され、新浪氏には批判殺到のワケ
サントリーホールディングス(HD)は12月12日、新浪剛史社長が退任して代表権のある会長に就任、創業家出身の鳥井信宏副社長が社長へ昇格する人事を発表した。 【図表】「プロ経営者」サントリー新浪剛史氏が“有能である”動かぬ証拠 同族経営は、経営の硬直化、公私混同を招きやすい等の理由から批判されることも多いのだが、SNSでは創業者一族の社長就任を称賛する声が非常に目立っている。 一方で、創業家以外で初めて同社のトップとなった現社長の新浪氏には、批判的なコメントが多くある。同氏は社長から会長に就任するが、「サントリーにとどまるなら不買運動を続ける」といったネガティブなコメントが相次いだ(不買運動を唱える人がいる理由は後述)。
どうしてこのような評価がされるのだろうか? ■経営者交代が賞賛される「3つの理由」 今回の社長人事を「大政奉還」と報じているメディアもあるが、もともと、サントリーHDは同族経営の非上場企業で、2014年に新浪現社長が就任したのは、創業家出身の経営者を育成する間の暫定的なものとされていたし、新浪氏自身もそのように明言していた。 その意味では、今回の社長人事は完全に既定路線と言ってよく、なんら驚くようなことはないと言える。それにもかかわらず、同社の社長人事が大きな話題になり、SNSで賞賛された理由としては、
1:新浪社長に対するマイナスイメージ 2:「プロ経営者」に対する抵抗感 3:同族経営への評価 の3点があると考えられる。 まず、新浪現社長については、その言動がよく批判される人物でもある。 たとえば、2021年に新浪氏は「45歳定年制にして個人が会社に頼らない仕組みが必要」と発言し、「中高年の切り捨てだ」として批判をされた。 2023年には、児童手当の所得制限撤廃に反対を唱え、「子育て世代の負担を理解していない」と叩かれた。同年、マイナンバーカードの一本化に際する廃止時期の適用について、「納期を守るのは日本の大変重要な文化」と発言。財界が政府に要求するような物言いが批判を集めた。