「“納期を守れ”発言を忘れていないからな」サントリーHDが新浪氏から創業家・鳥井氏に社長交代 「同族経営回帰」が称賛され、新浪氏には批判殺到のワケ
ジャニーズ問題に関しては、「チャイルド・アビューズ(子ども虐待)は絶対にあってはいけない」という前提のもと、「ジャニーズ事務所を使うことは虐待を認めるということ」といった強硬な発言を行い、一部のジャニーズファンから批判を浴びた。この件はX上で「#サントリー不買運動」が多数ポストされる結果となっている。 新浪氏は2023年4月に経済同友会代表幹事にも就任しており、一企業の経営者を超える存在として、言動は注目を集め、場合によっては物議も醸してきた。
発言の内容自体は、必ずしも極論とは言えず、それなりに根拠に基づいたものだと思うのだが、誤解を招きやすい表現をしていたのも、また事実であっただろう。 真偽のほどは不明だが、新浪氏がローソンの社長時代にパワハラを行っていたと2023年に『週刊新潮』が報じたことも、新浪氏の「高圧的」というイメージを世間に与えたように思える。 ■「プロ経営者」は日本では嫌われがちだが… 新浪氏に対する風当たりの強さは、同氏が「プロ経営者」であることも影響しているだろう。プロ経営者は、一時ほどではないが、日本においては「金銭目的で企業を渡り歩く」「企業の伝統や文化を破壊する」といった悪いイメージを抱く人も少なくない。
新浪氏は、新卒で三菱商事に入社し、社内ベンチャーを立ち上げている。2002年に株式会社ローソン代表取締役社長兼CEOに就任。2014年には、サントリーHDの代表取締役社長に就任している。 多くの企業を渡り歩いているわけではないが、プロ経営者の代表的な人物の1人とみなされている。 他の「プロ経営者」といえば、2024年7月には魚谷雅彦氏が資生堂取締役代表執行役会長CEOを退任することが発表された。
新浪氏がサントリーHDの代表取締役に就任したのと同じ2014年、魚谷氏は資生堂の代表取締役に就任しているが、140年を超える歴史を誇る同社で、役員経験のない人物が初めて抜擢されたと注目を浴びていた。 魚谷氏の就任後、低迷していた同社の業績は大きく回復した。しかしながら、魚谷氏が退任を発表した2024年は赤字に転落しており、経営者としての能力の限界も指摘されていた。 また、プロ経営者というと元日産CEOのカルロス・ゴーン氏を思い浮かべる人も多いかもしれない同氏は、2018年に金融商品取引法違反、特別背任で起訴され、2019年には密出国し、海外逃亡している。