山梨を“伝える”インタウンデザイナー土屋誠 “ハタフェス”やワイナリーをブランディング
山梨に住む理由は「楽しく暮らしたいから。いいものが身近にあることが『いい暮らし』だと思う。それを伝える仕事はみんなの役に立つし、自分の生活の中に溶け込み生業になっている」と分析する。
「東京では消費社会の一端を担うような仕事が多かったが、山梨では伝えたいという気持ちが強くなった。身近な人が作るモノに『いい』と思うものが多く、使いたくなるものが多い。それを伝えるためのツールである編集やデザインが大事だと再認識した。例えば『BEEK』で発酵をテーマに特集して改めて気付いたのは、知らなったから手に取らなかったものが多いこと。知っていると知らないのでは大きく違う。一般的に山梨と言えば富士山、桃、ブドウというイメージで織物やジュエリーの産地であることを知る人は少ない。発信が弱く情報が届いていないともいえる。そうした山梨の今を知りたいと思い、伝えるための道筋作り、メディアを通じてどう伝えるかは編集とデザインが重要になる」。土屋代表の仕事は編集とデザイン、その両方のスキルによってつくられている。
“ハタフェス”の仕事も「BEEK」が起点だった。「BEEK」を見た県職員から「織物を伝える冊子を作りたい」と依頼があり15年に織物のフリーペーパー「ルーム」を作った。「冊子だけでは伝わらないと地元の人に向けて『ルーム』の完成と織物を伝える音楽会を開催した」。そこに(富士吉田市経済環境部)富士山課の勝俣美香さんがたまたま訪れた。「勝俣さんに機織りにフィーチャーしたイベントを開催したいと相談されたが、即答はできなかった。ちょうどそのころ一緒に運営できそうな仲間(後にハタフェスを共同で運営することになる藤枝大裕と赤松智志)が移住を決めた。彼らを巻き込めばできるのではと思い依頼を受けることにした」。この4人が柱となり“ハタフェス”の運営が始まった。
産地観光で重視したのは「町のためになる仕組みに編集すること」