「日本人は自分の長所をわかっていない」日本とアメリカの学生スポーツ何が違う? バスケ初NCAA日本人コーチ「動画どんどん送るべき」
「日本にいたら経験できない」
確かに、どれだけ敏捷な選手でも、サッカーやバスケットボールのように敵味方が混じる競技の場合、パワーや体幹も兼ね備えていないと、アメリカでは敏捷性を発揮することすらできない。そんな状態では、どれだけ敏捷でも『アスレティック』と評価することはできないというのだ。たとえ足が速くなくても、体幹が強く、フィジカルコンタクトがある中で様々なことができる選手のほうが評価は高くなる。 「そこはたぶん、日本にいたら一番経験できないことですよね」と森田。 日本の女子バスケットボールの試合を見ていても、その違いが目に付くという。 「WJBLのハイライト動画を見たときに、ハイライトだったから、上手なプレーがたくさんあって。でも見たら、全部ランニングプレーなんですよね。ボールスクリーンからロールして、ポストをヒットしてポストが決めてくるとか、シュートが入るまでの過程にフィジカルなコンタクトがひとつもないというのが印象的でした。アメリカだとそういうことはまずないんで。ハイライトを見ていると上手に見えるけど、海外に行ったらできないというのはそういうことなのかな。あと、速さっていうのはスペースがあって成り立つものなので。スペースを取られたときにどうするのかというカウンター(の動き)ができなかったりということもありますね」
「ハイライト動画をどんどん送って」
NCAAでプレーしたい選手が、売り込みのためのハイライト動画を作るときも、そういったことを意識する必要がある。 森田によると、日本の高校生がNCAAを目指す場合には、受け身で待つのではなく、自分からNCAAのコーチ宛にどんどんメールを送り、ハイライト動画を送ることが大事だと言う。 「一般的にハイライトは見てもらえるんです」と森田。ただし、作り方のコツをわかっていないと、冒頭の数秒しか見てもらえないこともある。 「日本人選手は、ハイライトの作り方がわかってない人が多い」と森田は言う。さらに、「日本人は自分が何を得意としているのかわかっていない」とも言う。どちらも、コーチの目から見た選手評価の視点を理解できていないからだ。だから、「コーチがどういうところを見るのかをわかっている人にハイライトを作ってもらうことがお勧め」とアドバイスする。 具体的には、どんなハイライト動画が、コーチに見てもらえる動画なのだろうか。森田によると、結果ではなく過程を見ることができるのがいいハイライトだという。 「例えば、ディフェンスを頑張って、パッシングレーンでスティールしてオープンレイアップに行くのが得意ということであれば、そのパッシングレーンをディナイして、スティール取ってレイアップに行くまでの過程を見せてほしい。(スティールした後の)トランジションのオープンレイアップばかり15分見せられても、『何を見ているんだ』って思うわけですよ。そんなものを見たいわけじゃない。それより、どうやってレイアップに持って行っているのかを見たい」 外からのシュートが得意な選手の場合も同様だ。 「スリーポイントが入るんだったら、打っているところじゃなくて、打つまでの過程を見たい。スクリーンをちゃんと使ってポップアップしてスリーを打っているとか、トランジションで走って打っているとか、スリーポイントを打つまでの過程のバリエーションは見たい。別にシュートが入るところだけを見たいわけじゃない」 動画の長さも注意だ。長ければ見てもらえるわけではない。むしろ、長さを敬遠して、見てもらえないことも多い。だから、短い中にどれだけ詰まっているかが大事になる。 「できれば1分半ぐらいで何ができるかをまとめてほしい。見る側としては、1分半だったら見てみようと思うけど、5分間同じプレーを見続けるということはないわけで。ハイライトは大体30秒ぐらいで見るか見ないかが決まりますね。30秒見ていいなと思って、1分半見て、これならフルゲーム見ようかなと思う子と、いやもう絶対無理だって思う子とに分かれます」
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