「日本人は自分の長所をわかっていない」日本とアメリカの学生スポーツ何が違う? バスケ初NCAA日本人コーチ「動画どんどん送るべき」
アメリカの大学トップアスリートたちが競うNCAA(National Collegiate Athletic Association/全米大学体育協会)でヘッドコーチを務めている日本人コーチがいる。 【画像】「いま見るとグッとくる…」渡邊雄太20歳がNCAAでつかんだNBA行きの切符、じつは撮影してた八村塁17歳の豪快すぎるダンクシュート、全米を熱狂させた“トミナガ”も見る(60枚) 森田麻文(あさみ)。ユタ州ソルトレイクシティにあるNCAA2部のウェストミンスター大の女子バスケットボール・チームのヘッドコーチだ。 1年前にウェストミンスター大のヘッドコーチに就任する前にはNCAA1部(以下、D1)の大学で9年間、アシスタントコーチを務め、練習や試合中におけるヘッドコーチのサポートはもちろんのこと、選手のリクルートや対戦相手のスカウティングなど、アメリカの大学で必要とされるコーチの仕事をすべてやってきたベテランコーチだ。カンファレンス優勝やNCAAトーナメント出場の経験もある。 NCAAにおいて日本人コーチは稀な存在で、同大の調査によると、日本出身のコーチがNCAA男子または女子バスケットボール・チームのヘッドコーチに就任するのは、NCAA史上初めてのことなのだという。
NCAAのコーチが選手に求める資質
一方、最近では、NCAA留学する日本人アスリートが増えてきた。高校野球から米スタンフォード大に進学した佐々木麟太郎が話題を集めたが、バスケットボール選手だけ見ても、2023-24シーズンにNCAA D1のチームに登録していた日本人選手は、男子が7人(うち4人が日本の高校卒業)、女子が4人(うち1人が日本の高校卒業)いた。卒業した富永啓生(ネブラスカ大)のようにトップレベルで活躍して注目された選手もいて、今後、その人数は増えていくことが予想される。 しかし、それだけ増えても、まだNCAAのコーチたちが選手にどんなことを求め、何を見ているのかはあまり知られていない。森田は、それを採用する側として知っている数少ない日本人のひとりだ。 日本の大学スポーツとアメリカの大学スポーツは色々な面で違いが多い。基本的なところでは、登録人数に制限があり、誰でも入れるというわけではない。また、NCAAで公式スポーツとして行われている種目は限られており、たとえば柔道や卓球はNCAAでは大学の公式チームとしては存在せず、あったとしても、どの大学でも同好会扱いだ。 違いは、そういった、調べればわかるような組織的なことばかりではない。たとえば、と森田があげたのが、アメリカでトップレベルのアスリートに求められる「アスレティック」という概念だ。森田によると、これは日本で言う「運動神経がいい」とは少し違うのだという。 「以前、知り合いの日系人のサッカー・コーチに、日本人をもっとリクルートする気がないのか聞いたことがあるんですけれど、『日本人は頑張るし、うまい子もいるんだけど、アスレティックじゃない』って言うんですよね。確かにアメリカだと、日本で言う、いわゆる『運動神経がいい』とはレベルの違う、『アスレティックだ』という価値観がある」と森田は言う。 その違いとは何なのだろうか? 「そのサッカーのコーチが言うには、ズドンと、ズンと行く力強さと速さが兼ね備わったらアスレティックなんだそうです。日本人は接触に対して弱いから、まっすぐ行けないっていう話をしていました」
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