子どもがほしいけど、教育費を払えるか不安です。子どもは1人、公立の小・中・高校に通えば世帯年収800万円でも授業料を給料だけでまかなえるのでしょうか?
世帯年収800万円のAさん夫婦は結婚1年目、子どもを産むか、夫婦だけで生涯暮らしていくか悩んでいます。Aさん夫婦は、それぞれの趣味が謳歌できる今の生活に満足しており、おのおの会社の財形貯蓄などで老後資金は貯めています。 子どもがほしいと思ってはいるものの、教育費用を準備するために家計が切迫するのではないかと心配だそう。大学費用はコツコツ積み立てる予定ですが、小中高すべて公立に通わせれば今の給料でまかなえるのか確認したいとのことです。 ▼「大学無償化制度」の対象者とは? 年収要件や注意点を解説
世帯年収800万円で子どもの教育費はまかなえる
子どもの教育費について、小中高でどのくらいかかるかを確認します。 図表1
公立の場合、小学校が1年間で35万2566円、中学校が53万8799円、高等学校が51万2971円となっています。 年収800万円ということは、税金や社会保険料を控除したいわゆる手取り額は80%と考えて640万円になります。そのなかから教育費として、年間約35~54万円の負担があるという計算になり、所得の1割以内に収まっていることが確認できます。
中学・高校の学費(学校教育費)無償化
このうち、国公立学校における義務教育は申請不要で無償化となっています。2024年4月からは高校については所得制限が撤廃されましたので、全世帯が対象となっています。 つまり、学習などは学校だけで、塾や習い事を一切させない、というスタンスを貫くのであれば、年収800万円であれば問題なく教育費の心配はないといえるでしょう。
学校外活動費をどの程度かけるか
「教育費は負担が大きい」とよく言われるのは、この学校外活動費がどの程度かかるのか、あるいはどの程度かけるのかの予測が立てられないためです。 「子どもがほしいけれど、どうしようか……」と、まだ迷っている間は実感もわかないでしょうが、いざ生まれてくると、「あれをさせたい」「これができるようにしてあげたい」など親の夢も子どもにかける期待も膨らんでいくものです。 さらに子どもが小学校、中学校へと進むにつれ、子どもの世界での人間関係が構築されていきます。親もママ友・パパ友仲間が増えてくるにつれ、よその子の学校外活動費(塾や習い事)の様子も気になりますし、子どもに「やってみたい」と言われれば、やらせてあげたいと思うこともあるでしょう。 事実、先ほどの表では、学校教育費よりも学校外教育費のほうが概して高額になっています。この費用は家庭での一存で決まりますし、当然国や自治体からの補助の対象外です。高校に上がれば、部活動によっては、ユニホーム代や用具、楽器などの費用、あるいは遠征や合宿でまとまった出費は避けられません。 「教育費が大変な負担」というのは、公立学校の場合はほぼイコール「習い事にかかる費用が大変」という意味です。そこを「うちはやらない」と言い切ることができるか、逆に際限なく支援していくか、で大きな差が出ます。