ダブルタイトル獲得を”真剣に”目指すマクラーレン。ピアストリもノリスのサポート役に徹すると約束……しかしバクー後に変更の可能性も?
ここ最近調子を上げ、最強チームであったはずのレッドブル勢に接近し、今やチャンピオンを狙えるように見えるマクラーレン勢は、必要とあらばオスカー・ピアストリに勝利を諦めさせてでも、チームメイトのランド・ノリスをサポートすることも辞さないようだ。チーム代表のアンドレア・ステラが認めた。 【ギャラリー】”空力の鬼才”の名は伊達じゃない! エイドリアン・ニューウェイが手掛けたF1マシン傑作選 2024年シーズンの序盤は、昨年と変わらずレッドブルの2台が圧倒的な速さを見せ、1-2フィニッシュを積み重ねていた。この時は誰もが、今季もレッドブルの圧勝に終わるだろう……そう思ったはずだ。 しかしマクラーレン勢は次第に力をつけ、レッドブルとの差を縮めていった。そして夏休みを挟むと、マクラーレンは一躍最速チームの座をほしいままにし、イタリアGPを終えた時点でドライバーズランキングではマックス・フェルスタッペンとノリスの差は62ポイントとなっている。まだまだ大きな差だとはいえ、ノリスは自力でのチャンピオン奪取の可能性を残している。 一方でコンストラクターズランキングでは、レッドブルとマクラーレンの差は僅かに8。いよいよ逆転秒読みとなった。 ただ、特にドライバーズランキングに関しては、ノリスがもっと接近するというシナリオも十分にあった。 ハンガリーGPでは、レース中のピットストップのタイミングによりノリスがピアストリをアンダーカットする形となってしまったため、ノリスにピアストリを先行させるように指示した。またイタリアGPでは、チームメイト同士の争いに集中してしまったがため、1ストップという奇襲に出たフェラーリのシャルル・ルクレールに逃げ切られてしまっただけでなく、ピアストリ2位、ノリス3位という順位でフィニッシュしてしまったのだ。 痛恨の敗戦を喫したマクラーレンは、何が起きたのかを見直すと誓い、モンツァを後にした。そしてその見直しの結果、マクラーレンはノリスを徹底的にサポートする形に”偏る”ことを決めたという。 「しかし我々は、原則にあまり妥協せず、そのことを成し遂げたいのだ」 そうステラ代表は語った。 「我々の原則は、チームの利益が常に最優先であるということだ。我々にとってのスポーツマンシップは、レースの全体的な進め方にとって重要だ。そして我々は、ふたりのドライバーに対して公平でありたいのだ」 「モンツァのような状況はもう見たくない。1-2でシケインに飛び込んでいったのに、クリアした時には1番手と3番手だった。そのことは、チームの利益になっていない」 「チームの利益が最優先であり、こういう状況は何よりも修正する必要があることだと思う。実際のところ、モンツァのレースのスタート時の展開により、最終的にこの結果(2位ピアストリ、3位ノリス)が残ってしまったからだ」 ステラ代表は、ふたりのドライバーとも話をしたという。その中でピアストリは、必要ならば、勝利を諦めてでもノリスをサポートすることに、全面的に同意したという。 「オスカーに『勝つのを諦めてもらってもいいかな?』と尋ねた時、彼は『厳しいけど、その時それが正しいことならばそうするよ』と答えたんだ」 「全てのドライバーは、勝利を目指すようにできている。だからこの期間に我々が見出したチームスピリットと成熟度、そして協力体制のレベルには、非常に感銘を受けている」 しかしそのアプローチについては、アゼルバイジャンGPの後で変更される可能性も、ステラ代表は示唆する。つまりノリスがフェルスタッペンから大きく遅れをとった場合などには、ピアストリがサポートに回る必要はないなど、状況によって差がつけられている可能性があると考えられる。 「モンツァの後で、マクラーレンには3つの目標がある。ひとつ目は、コース上で起きることは何でも、チームの不利益にならないようにする必要があるということだ」 「ふたつ目は、ダブルタイトルを獲得することだ。ふたりのドライバーは協力することを約束してくれているが、無謀な方法で勝つというのは避けたいんだ」 「これで3つで、バクーでのレースの進め方を決定づける。しかしこれは、バクーの後に変更されることになる」
Alex Kalinauckas
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