マクドナルドのアルバイトの「蔑称扱い」は間違っている
● 発端はハリス氏のマックアピール 「あなたがマクドナルドで働いていたという噂を聞いたのですが?」 今年4月、質問を受けたハリス氏はこう答えた。 「はい、学生時代にマクドナルドで働きました。ポテトを揚げたり、レジを担当したりしました」 ハリス陣営は「マックジョブ」として知られる低スキル・低賃金の職業経験を強調することが有利であると判断し、8月に広告キャンペーンを開始した。 「彼女は中流家庭で育ち、働く母親の娘として学位を取得するかたわらマクドナルドで働いていた」というナレーションのCMを制作したのだ。広告では「富を受け継ぎ、銀のスプーンをくわえて生まれた男に対抗するのは、彼女の人生と経験の素晴らしい部分です」とも訴えている。 「銀のスプーンをくわえて生まれた男」とは、裕福な家庭に育ったトランプ氏を暗に批判するものだ。「銀のスプーン」は英語圏で裕福な人を指す慣用句である。 ハリス陣営によれば、1983年の大学1年生の夏休みにカリフォルニアのベイエリアにあるマクドナルドのフランチャイズ店でアルバイトをしていたとされる。 ただ、ハリス氏は2019年までその経験を全面に押し出すことはなかった。
● マックはどっちの味方?→公式のアンサーとは 彼女が大学卒業後に提出した就職願書や履歴書、そして2冊の著書にもマクドナルドでのアルバイト経験は記載されていない。ハリス氏は最近まで、マックでのバイトについて大々的に言及していなかったのである。 ハリス氏のマクドナルドでの職歴を示す確たる証拠が残っていないことから、トランプ氏は「まったくのウソ」「私はカマラより15分長く、マクドナルドで働いた」と主張している。 一方、ワシントンポストは「働いた記録がない=働いたことはない、とする飛躍した論法」とトランプ陣営を批判。当のマクドナルドによる、以下のような従業員向けメッセージを紹介している。 《トランプ前大統領のマクドナルドへの愛情と、ハリス副大統領のアーチの下で働いた思い出を誇らしく思います》 《私たちとフランチャイズ加盟店は、80年代初期に遡ってすべての役職の記録を保有しているわけではありませんが、8人に1人という数字がこれほど強力なのは、多くのアメリカ人が経験した共通の体験があるからです》 マクドナルドとしては、あくまで中立ということだろう。従業員メッセージには「マクドナルドは選挙で候補者を支持することはしておらず、それは次期大統領の座を争う今回の選挙戦についても当てはまる。我々は赤(共和党)でも青(民主党)でもなく、ゴールデンだ」(CNN)とある。