大半の時間をスマホに費やす10代、専門家が対処法を解説
この時間で他に何ができるか?
筆者が学校に出向いて子どもたちのソーシャルメディア利用について親たちに話をする際には、子どもたちに十分な量の睡眠と運動を確保してあげるよう助言する。スマートフォンをしまって宿題などに集中することを学ばせ、端末を介さず家族や友人と交流する機会も提供する。 米心理学会のプリンスタイン氏によれば、睡眠は翌日の注意力や感情、安全にとって重要なだけでなく、10代の間に脳がどれほど成長するかなどにも影響を与える大きな要因だという。 10代の場合、平日の夜は午後9時までにスマートフォンの電源を確実に切ることをプリンスタイン氏は推奨している。 子どもたちがスポーツなどの課外活動に関われば、体を動かし、スマートフォンから離れて時間を過ごせる。結局のところ、球技などをプレーしている最中にインスタグラムをチェックするのは至難の業だ。 10代はこの他、物事に集中する方法や周囲の状況を把握する方法も学ぶ必要がある。筆者がよく言うように、人間の脳にマルチタスクは不可能だ。だから子どもたちがTikTokを見ながら宿題などをしているのなら、作業に十分集中できていないことになる。 子どもたちにはまた、オフラインで遊び、友情を育む機会も多く与えなくてはならない。 「青年期は他者との関係を結ぶ技術を身に付ける時期だ。この技術を駆使して人は残りの人生、仕事や職場での人間関係を構築していく」(プリンスタイン氏) 「ソーシャルメディアを利用している時間は、子どもたちからそうした学習の機会を奪いかねない。単に長時間ネットをやっているというだけでなく、オンラインのやり取りには言語的及び非言語的コミュニケーションや微妙なニュアンス、本来の関係性に含まれる洗練さが欠如しているからだ」(同氏) つまり10代には、スマートフォンを使わない状態で友人や家族と過ごすのが奨励されるということになる。 当然親たちも、子どもと接する間は自分のスマートフォンをチェックしたくなる衝動に抵抗しなくてはならない。家族全員がスマートフォンを使わない時間帯をスケジュールに盛り込むことが第一歩になるかもしれないと、プリンスタイン氏は指摘する。 多くの10代があまりに長い時間をオンラインで過ごしている。だが親たちが子どものオンライン上での行動に関心を持つことは助けになり得る。その時間があれば他に必要なことがどれだけできるか、子どもたちに理解を促せる。非常に多くの子どもたちが起きている時間のほとんど全てをオンラインに費やす中、今こそこうした会話を始める絶好のタイミングだ。 ◇ 本稿はフェアリー・ディキンソン大学でコミュニケーション学を専攻するカラ・アライモ准教授による分析記事です。