日本経済の復活は「中国の停滞のおかげ」といえるのか
中国の習近平氏1強体制は盤石だが、国民の経済への不満はくすぶり続けている(写真:ブルームバーグ)
日経平均株価が4万円台乗せを達成したが、それは「日本経済の復活」を意味するのだろうか――。ある意味ではイエスだ。 まず1つには、企業の収益力が着実に改善していることがある。円安や低金利の恩恵もあるだろうが、収益力改善の裾野は内需企業や中堅中小企業にまで広がっており、単に外部要因によるものとは片付けられない。もっとも、収益力改善の大きな背景の1つに人件費の抑制による労働分配率の低下があり、景気全般への波及効果が非常に限られているのも確かだ。 次に、株主還元の強化や政策株式の売却など、株主の視線を意識した経営が身についてきたことも挙げられる。この点に関しては、いわば唯我独尊的な旧世代の経営者から、資本政策を意識する新世代の経営者への世代交代が着実に進んできたことが大きな理由だろう。 一方で、それらが全面的な「日本経済の復活」とまでいえる変化かといえば、大いに疑問が残るところである。
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田渕 直也