「台湾で日本兵が神となった訳」"おばけの人類学" 知らないことばかりの教養講座
台湾では、軍服を着た日本人が神としてまつられている祠(ほこら)が各地にあり、「戦前の日本統治はよかった証拠」として観光ツアーに行く日本人が絶えない。だが、宗教から台湾を見つめる専門家は「それはちょっと違う」と説明する。10月1日、RKBラジオ『田畑竜介Grooooow Up』に出演したRKB毎日放送の神戸金史解説委員長がこの調査研究について解説した。 【写真を見る】おばけの人類学台湾で鬼になった日本人 ■キョンシーの登場にびっくりの会場 9月28日、福岡市の中央市民センターで「おばけの人類学」という教養講座がありました。照明が落とされて暗くなった会場に、キョンシーの格好をした男女4人が音楽とともに登場しました。主催した「ふくおか自由学校」スタッフが扮していたのです。 ♪(おどろおどろしい音楽)「おばけの人類学、台湾で鬼になった日本人~!」 いのうえしんぢさん(キョンシー姿):「ふくおか自由学校」スタッフのいのうえしんぢです。僕は小さい時から「おばけって怖いなー」と気になっていました。人間ってなんで死ぬのかな?死んだ後なぜ生きている人に訴えかけてくるんだろう?不思議に思っていました。でも、死んだ人のことを考えることは、逆に生きるということを考え直すことかもしれないなと思ったりしました。古今東西、何千年前も、生きることと死ぬことを考えるのは多くの人の心をつかんでいるからこそ、文学とか美術とか音楽でもいっぱい表現されてきたんじゃないかな、と思います。 キョンシー(僵屍)とは、中国語で「硬直した死体」のこと。中国では「死体は長い時間が経過すると悪霊になって人に害を与える」という俗信があるそうです。 ■台湾で「神様」になった日本人 続いて、北海道大学大学院の藤野陽平教授が「おばけの人類学台湾で鬼になった日本人」というタイトルで講演をしました。 藤野陽平さん:1978年東京生まれ。博士(社会学)。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の研究機関研究員等を経て、北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院教授。著書に『台湾における民衆キリスト教の人類学一社会的文脈と癒しの実践』(風響社)、『ホッピー文化論』(ハーベスト社)など。