お顔に特徴がある、オンリーワンの疾病を抱えながらも前を向く家族。「生まれてきてくれてありがとう」と伝え続けたい【体験談】
ついに退院!地域の移動支援者や訪問看護師がサポート
――未来くんが退院してくる自宅で何か準備したことはありますか? しほ かなり大がかりな模様替えをしました。未来は床に寝転がって生活をすることが多くなると思ったので、リビングはソファを置くことをやめ、私たちも床に座る生活になりました。 寝室にはベビーベッドを置きました。未来は夜は寝室、昼間はリビングで生活するので、必要な医療機器全部を乗せることができるワゴンを用意して、ワゴンと未来がセットで寝室とリビングを移動できるようにしました。 ――退院した日の様子を教えてください。 しほ 病院から自宅へは地域の移動支援者さんたちがつき添ってくれました。その後、訪問看護師さんや呼吸機メーカーの方が来て、打ち合わせをしてくれました。在宅介護に切り替わるに当たり、本当にたくさんの人たちが未来の生活にかかわってくれています。本当にありがたいです。 ――退院してからの未来くんはどんな様子ですか? しほ 驚くほどの成長を見せてくれています。おもちゃに興味をしめし、ボールを近くに置くと手を伸ばして振り回して投げてみたり。入院中はボールに触れさせても握るだけだったので驚きました。 また、指しゃぶりもするようになりました。5カ月ごろ、一度おしゃぶりが始まったのですが、目を守るため手にミトンをはめるようになったため、すぐおしゃぶりができなくなってしまったんです。それが、退院後できるだけ自由にさせていたところ、指しゃぶりをするように…。自分の指を口で確かめている行動だと思うので、赤ちゃんらしい姿が見られてとてもうれしかったです。
口から胃管を入れていたものを、胃ろう造設をすることに
――おしゃぶり以外に成長を感じるところはありますか? しほ 未来は栄養をとるために、胃管を口に入れているのですが、その管をすぐに取ってしまうようにもなりました。手が動くようになった成長の証でもあるのですが…。そこで、おなかに胃につながる小さな穴を空け、短い管を配置する胃ろう造設をすることになりました。 これまでは口から管を通して栄養を入れていましたが、胃ろうは太くて短い管なので、ぐっと栄養摂取しやすくなります。指しゃぶりも自由にさせてあげられるし、離乳食も始められます。今後、もしえん下能力が上がれば、胃ろうの穴をふさぐことができます。 大学病院で検査をし、未来の身体に胃ろうを作っても問題がないこと、またメリットとリスクを聞いたうえで、1カ月入院して胃ろうを作ることになりました。 ――胃ろうを作ってからの未来くんはどんな様子でしたか? しほ 実は、一度ものすごくおなかが大きくなって血まみれになってしまうトラブルがありました。未来の胃ろうはバルーン型というもので、胃の中に風船のようなバルーンを入れ、水でふくらませておなかから出ないようにしています。それがあるとき、胃ろうのあたりのおなかがかたくふくれ上がってしまったんです。 驚いて大学病院に行くと、胃からの出血が多く脱水症状も起こしているとのことで即入院になってしまいました。 どうやら「ボールバルブ症候群」になっていたようです。胃ろうのバルーンが何らかの原因で十二指腸のほうに入ってしまい、胃の中のものが流れないようふさがってしまっていた状態です。しばらく入院となり、初めてのクリスマスと年越しを入院して過ごすことになってしまいました。 自宅での処置方法も病院で教えてもらい退院しましたが、頻繁にこの症状が起きるようになってしまいました。病院の先生に相談したところ、胃ろうの管を短くすることになりました。思いがけないトラブルもありますが、日々のケアをおこたらないようにしています。