「私にはゴルフしかないから」 悩める松田鈴英は予選落ちも…“救われた”今季の初のアンダーパー
<Sky レディースABC杯 2日目◇25日◇ABCゴルフ倶楽部(兵庫県)◇6645ヤード・パー72> ステップならでは 4人並んで“はい、チーズ”【写真】 松田鈴英が昨年11月の「山口周南レディースカップ」初日以来のアンダーパーとなる「71」で回った。インから出て、3バーディ・1ボギーの2アンダーで迎えた最終9番は3メートルのボギーパットを何とかねじ込む薄氷のアンダーパー。今年初の待望の“赤字”に声は上ずった。 「今週はアンダーが出そうな手ごたえみたいなものがあった。最後は危なかったけど、本当にうれしい。今までいっぱい泣いてきたけど、やめなくてよかった。救われた気持ちです。すごくうれしい」 2020-21年の統合シーズンにメルセデス・ランキング93位に終わり、2季連続で守ってきたシードを失ってから、成績は急降下した。昨季は同ランキング148位まで落ち、今季もレギュラーツアー8試合はすべて予選落ち。ステップ・アップ・ツアーも3試合で2度の予選落ちに、途中棄権が1度。平均ストロークはレギュラーが「79.31」、ステップが「79.8」とアンダーパーなどは夢のまた夢のどん底状態だった。 「結構、SNSでいろいろ叩かれました。“もう試合に出るな”とか。私もやめようと思ったことがあるし、いっぱい泣いた。でも、ゴルフしかない。私はゴルフが好き。心が折れても、次の日には練習していた。ほかの仕事は考えられない」 試合は初日の「77」が響き、トータル4オーバーの79位で予選落ち。今季獲得賞金「0円」のプロ8年目は大会終了後に確定するリランキングを待つことなく、今季の戦いを終えた。「この試合が今年最後になることは分かっていた。でも、最後の最後にアンダーが出せてよかった。最後のボギーパットはしびれたけど、そういう感覚も久しぶりに思い出せてよかった。前向きな気持ちでQTに行けます」。次の戦いの舞台は来季の出場優先順位を決める予選会(QT)。11月19日から4日間、静岡・裾野CCで行われる1次予選会B地区となる。 スランプの始まりとなったドライバーショットも今週は気持ち良く振ることができた。パー5の18番は275ヤードをかっ飛ばした。「やるしかない。こんな私でもまだ応援してくれるファンの方がいる。5月の試合で「87」を叩いても最後まで、ついてくれた人もいて、泣きそうになった。その人たちのためにも頑張りたい」。小祝さくら、勝みなみらと同じ2017年のプロテストに2度目の挑戦で合格。2年目の18年には賞金ランキング11位になったが、初優勝に届かないまま長いトンネルに入った。 未来に光明を見いだすアンダーパー。黄金世代の1学年上で来年1月に27歳。まだまだ老け込む年齢ではない。(文・臼杵孝志)