自動車メーカーから大学教授に 「事故のない自動運転」を追求
楽しければ、立ち向かえる
國行教授のゼミは車好きの学生が多く、自動車関連企業への就職を希望する人もいます。 「学生には、モノや現場をしっかり見て情報を収集し、分析する力を身につけてもらいたい。データはあくまで数値の集まりですから、それを分析し、どうしてそうなるのかという仮説を立て、検証することが大事です。データをもとに物事を創造する力、気づく力は、これから出合うさまざまな課題の解決に役立つと思います」 テクノロジーが急速に進化している現在、自動車も家電製品も、ものづくりには複数の分野が関わっています。同大学の機械電気工学科は、機械系と電気系の学問の融合を図ろうとしています。 「ものづくりには強度や耐久性、安全性、使いやすさなど、さまざまな視点が求められていますから、関心のあるところから学びをスタートするといいと思います。一つの分野で考え方をしっかり身につけられれば、取り組む対象が変わっても、その業界の知識を得ながらやっていけるはずです」 最後に、進路について悩んでいる中高生とその保護者に向けて、アドバイスを聞きました。 「大切なのは興味を持ってチャレンジすることです。自分の好きなこと、やりたいことを見つけるのは意外と難しいものですが、楽しいと思うことにチャレンジしていくと、視界が開けて、また次の楽しいことが見えてきます。楽しければ、壁にぶつかっても立ち向かっていけると私は信じています」 プロフィール 國行浩史(くにゆき・ひろし)/東京工業大学工学部機械物理工学科卒、同大学院理工学研究科機械物理工学専攻修士課程修了。博士(工学)。日産自動車株式会社に就職し、車の振動、騒音、安全性能の実験などを担当。在職中に半官半民の交通事故総合分析センターに3年半出向し、交通事故の分析にも取り組む。2017年から現職。専門は自動車衝突安全・予防安全、自動運転、交通事故分析。
朝日新聞Thinkキャンパス