もずく最強?ぬめり成分「フコイダン」が昆布の10倍…ダイエットや便秘解消だけじゃない意外な効果も
腸内環境を整え免疫力を高める
酢の物やスープにして手軽に体に取り入れられるもずくは、食物繊維やミネラルなどの栄養素が豊富で、低カロリーのヘルシーフードとして注目されています。とりわけ、気温が急に下がって体調不良を起こしがちな今の季節は、もずくがお勧めだそう。食品の免疫機能に詳しい九州大学大学院教授の広瀬直人さんに、もずくの効果や、効率的に摂取できる食べ方などについて聞きました。 もずくは、細長い麺のような形状をした海藻で、磯の香りとツルッとした食感、独特のぬめりが特徴です。広瀬さんによると、このぬめりが重要なのだそうです。 「もずくのぬめりは、フコイダンなどの水溶性の食物繊維によるものです。食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があります。水溶性食物繊維は、水に溶けるとゼリー状になります。ゼリー状の食物繊維は腸内に広がり、栄養素の吸収の速度を緩やかにし、食後の血糖値の上昇を抑えます。コレステロールやナトリウムを吸着して体外に排出する働きもあり、生活習慣病の予防になります」と広瀬さんは説明します。 また、水溶性食物繊維は腸内で乳酸菌など善玉菌のエサになり、善玉菌を増やす作用もあります。善玉菌は腸内環境を整えるので、便秘の解消などにも効果的。腸内を掃除して便秘の解消を促すとともに、血糖値の急激な上昇を抑制して糖質の吸収を抑えるので、ダイエット効果も期待できるといいます。 さらに、フコイダンには免疫力を高める作用も。「フコイダンを積極的に取ることで、免疫力が上がり、風邪を引きにくくなる効果があります」と広瀬さん。 フコイダンはもずくだけでなく、同じ海藻類の昆布やワカメなどにも含まれています。しかし、「特にもずくがお勧め」なのだそう。「水溶性の食物繊維は不溶性に比べて、食品に含まれている量が少なく、摂取しにくいのです。褐色の海藻(褐色藻)にはフコイダンが含まれていますが、もずくはひときわ多くて、昆布の5~10倍になります。水溶性の食物繊維をたくさん摂取するには、もずくが最適なんです」 厚生労働省によると、成人の食物繊維の目標摂取量は1日25グラム。市販のもずく1パック(30~40グラム)には約2グラムの食物繊維が含まれています。もずくと言えば、三杯酢に漬けた「もずく酢」が一般的。お酢には消化促進の作用があり、血流や代謝を促すので、もずくと相性の良い組み合わせです。 「でも、もずく酢だけでは1日の食物繊維摂取量に足りません。天ぷらにしたり、チヂミに入れたり、もずくをたくさん食べられる料理をメニューに取り入れた方がいいでしょう。お勧めなのはみそ汁やスープです。フコイダンは熱に強いので、加熱しても栄養は壊れません。しかも、みそ汁やスープを飲み干せば、溶けだしたフコイダンを余さず取ることができるので、効率的です」と広瀬さんはアドバイスしています。