為替介入への警戒高まる 37年半ぶり1ドル161円台【Bizスクエア】
バルタリサーチ 為替ストラテジスト 花生浩介氏: 介入というのは、特にドル売りの買値の場合には、ある程度の量的な制限もありそうだし、そもそもスムージングの域は出ないので、やはり介入だけでは止められないという意味でいえば通貨当局も慎重になっている。 ここにきて日銀も市場をけん制する発言を繰り返している。まず植田総裁が6月18日に「7月の会合で、政策金利が引き上げられることも十分あり得る」と発言。また決定会合の主な意見では「円安は物価見通しの上振れの可能性を高める要因。政策金利の水準はその分上がると考えるべき」という意見も出ていた。 ――日銀ウォッチャーから見ると、総裁が引き上げ、利上げが十分あり得るという発言は、かなり踏み込んでるが、全く効かない。 バルタリサーチ 為替ストラテジスト 花生浩介氏: これが1年前だったら効いたと思う。ただ、植田総裁になってから1年強が過ぎて、結局1回わずかにマイナス金利をゼロに戻しただけ。その間、政策を基本的に動かさなかったので、ハードルが上がってきている。 ――つまり市場の方は、通貨安政策を変える気がないと見ているということか。 バルタリサーチ 為替ストラテジスト 花生浩介氏: 主体的に、金融政策の正常化に向けて着々とアクションを起こしていくということは今のところあまり感じられない。それならばある種の通貨安政策が背景にあるのかと少なくとも投機筋はそう思っている。 ――円安を止める本気度が甘く、試されている。その証拠に、介入の効果が減ってきている。前々回の介入から前回の介入までは、同じレベルに達するまで500日以上あった。ところが、今回は2か月しかもたなかった。介入効果は減衰している。 バルタリサーチ 為替ストラテジスト 花生浩介氏: それに加えて、円買い介入してから5月、6月と実はアメリカ金利が下がっている。それにもかかわらず円安が進む。経済的にはなかなか説明がつかないが、もっと言うとテーマが経済問題から通貨安政策的な、政治的な思惑をはらんだ相場にテーマが変わってきていると思う。