世界パラ陸上 日本勢は計21個のメダル獲得も金メダルはゼロ
パリ2024パラリンピックの代表選考を兼ねた「神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会」が5月17日から9日間にわたり、神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で開かれた。104カ国・地域から選手1,073人が参加。日本からは史上最多の66人がエントリーし、銀9、銅12の計21個のメダルを獲得した。
女子は初出場の29歳の新星・鬼谷が円盤投げで銀メダル!
今大会は、2位以上の成績をおさめればパリ大会の出場枠が所属する国に与えられるとあって、ハイレベルな戦いが展開された。そのなかで、今年4月に日本パラ陸上競技連盟(以下、日本パラ陸連)の強化指定選手になったばかりの鬼谷慶子(関東パラ陸協)が、女子円盤投げ(車いすF53)で結果を残した。鬼谷はアジア新となる14m49をマークして銀メダルを獲得し、日本パラ陸連が定めるパリ大会の代表選考基準を満たした。鬼谷は20歳の時に病気で車いす生活になり、昨年4月にパラ陸上を始めたばかり。背もたれのない椅子に座れないなど重い障がいがあるが、投擲台に工夫を凝らし円盤を投げる。学生時代の投擲競技の経験も生き、一気に代表の座へと駆け上った。「パラリンピックは憧れの舞台。しっかりと準備したい」と語った。
女子の走幅跳は各クラスで好成績をあげた。下肢障害T42/T61/T63 はコンバインドで行われ、片大腿義足T63の兎澤朋美(富士通)と前川楓(新日本住設)がともに4m66をマーク。2番目の記録が上回った兎澤が銀、そして前川が銅メダルを手にした。なお、女子100m(T63)でも兎澤が2位、前川が3位に入る好パフォーマンスを発揮し、観客席を大いに盛り上げた。 片大腿義足T64の中西麻耶(鶴学園クラブ)は、5回目の跳躍で5m25の今季ベストをマークし、前回大会に続いて銅メダルを獲得した。視覚障害T12の澤田優蘭(エントリー)は5m00で3位だった。澤田も2大会連続で銅メダリストとなり、「2位以上を目指してきたので悔しい」としながらも、「メダルが獲れて一安心」と笑顔を見せた。