世界パラ陸上 日本勢は計21個のメダル獲得も金メダルはゼロ
また、脳性麻痺T37 の男子円盤投げで日本記録保持者の23歳・新保大和(アシックス)が自己ベストとなる52m13を投げ、銅メダルを獲得。兵庫県出身の新保のパフォーマンスには、観客席からひときわ大きな声援が送られていた。
前回金メダリストらは連覇ならず
前回大会の金メダリストらは、惜しくも連覇はならなかったが、存在感を示した。車いすT52の佐藤友祈(モリサワ)は、開幕前に輸送時のトラブルでレーサーが破損するアクシデントに見舞われ、急遽古いタイプの代車で臨むことになったが、男子1500mと同400mで銀メダル、同100mで銅メダルを獲得した。 また、前回大会は男子400mで優勝、同走幅跳で2位に入った視覚障害T13の福永凌太(日体大)は、今大会は同400mのみにエントリー。世界記録を更新したアルジェリア人選手に次いで2位となり、福永は「パリでは彼にしっかりと勝負できるようにしたい」と話した。
視覚障害T11の男子5000mに出場した唐澤剣也(SUBARU)は、15分3秒25で3位に入った。優勝した東京パラ金メダリストのエリツィン・ジャッキス(ブラジル)に唐澤が持つ世界記録を塗り替えられ、連覇も阻まれた唐澤は、「昨年のパリ大会で優勝して油断があったかもしれない。気を引き締めて、パリでは金メダルを狙う」と語った。 男子はそのほか、車いすT52の伊藤竜也(新日本工業)が男子400m決勝で3位に入った。知的障害T20の男子1500m決勝は、今季世界ランキング3位につけている十川裕次(オムロン太陽)が3分55秒94で銅メダルを獲得した。
宍戸強化委員長は「パリに向けてさらに強化体勢を組んでいく」
大会終了翌日の26日、日本パラ陸連が会見を開き、世界選手権の個人種目において前回大会で4位以内、今大会で2位以内に入りパリ大会の出場枠を獲得した計16人が代表選考基準を満たして日本代表に内定したと発表した。 宍戸秀樹強化委員長は、「世界選手権で実績を残したポテンシャルの高いアスリートが選ばれた。ただ、今大会で金メダルがゼロだったことは重要な問題であると捉えており、パリに向けてさらに戦略分析を行い、強化体勢を整えていく」と語った。なお、7月上旬には第2次の内定発表を行うとしている。 文・荒木美晴 写真・植原義晴