宮野真守×生見愛瑠の“背中を追いかけたい存在”とは? “個性”に悩む人へアドバイスも
お嬢様と執事。この組み合わせは多くのエンターテインメント作品で描かれてきたが、『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』では、魅力溢れる新たなお嬢様と執事のコンビが登場する。原作者の堀越耕平が原案を手がけた劇場版オリジナルキャラクター、ジュリオ・ガンディーニ役を宮野真守が、アンナ・シェルビーノ役を生見愛瑠が演じているのだ。 【写真】宮野真守&生見愛瑠撮り下ろしカット(複数あり) 宮野演じるジュリオは、資産家シェルビーノ家に仕える執事。普段は冷静沈着で丁寧な言動を見せるが、時折垣間見える粗暴な一面が謎めいた魅力を醸し出す。一方、生見演じるアンナは、シェルビーノ家の令嬢だ。彼女が持つ特別な“個性”が、今作の敵<ヴィラン>ダークマイトの執着の的となる。 本作の鍵は、平和の象徴とも称されるNo.1ヒーロー・オールマイトの“意志”。作品の核心に迫るこの言葉にちなみ、2人にとっての、“背中を追いかけたい存在”について話を聞いた。 ●宮野真守&生見愛瑠がLAで実感した『ヒロアカ』の人気ぶり ――『僕のヒーローアカデミア』は海外ファンからも高い人気があります。お2人は、米ロサンゼルスで行われたアニメイベント「AnimeExpo」のヒロアカスペシャルステージにも参加されたんですよね。 宮野真守(以下、宮野):そうです。我々は今回の映画が『ヒロアカ』初参加だったこともあって、逆に僕らが『ヒロアカ』人気を食らってしまったというか。それぐらい凄まじい熱で、「すごい作品に参加させてもらったんだな」ということを、海外で実感しました。 生見愛瑠(以下、生見):本当にみなさんすごいんですよ。みんな恥ずかしがらずにちゃんと盛り上がってくれるから楽しくて。私はLA自体も初めてでしたし、とにかく新鮮でした。 宮野:独特ですよ~、アメリカの叫び方は(笑)。かなりテンションが高い感じで迎えてくださって。だから僕らもステージに立ったときに、ロックスターのような気分でした(笑)。本当に、全世界から愛されている作品だと改めて感じました。 ――お2人は、お嬢様と執事役を演じられていますが、それぞれどういったアプローチで演技を練られたのでしょうか? 宮野:オリジナルキャラクターとはいえ、「急に現れた人」ではなく、やっぱり「この世界でどういうふうに生きてきたのか」を大事にしたいと思って。我々の生い立ちは映画の中でも少し触れてもらえているので、そこをしっかりと広げつつ、この世界に生きている人間として、何を目的として、何を信じて生きているのかを大事に役作りしていきました。特にジュリオは、孤児であるというところが大きいと思います。 ――ジュリオは戦闘シーンもギミックを使っていてカッコいいですよね。 宮野:そうなんです。いろんな個性が出てくる『ヒロアカ』で、ジュリオは個性で戦う人間ではないんですよ。周りとは違うギミック……いろいろ仕込んである武器を駆使して戦うので、またそこも面白かったんじゃないかなと。共闘シーンで、デクの個性と比べてみると、また違う質感で楽しめますよね。 生見:ですね。逆にアンナは見た目に反して、すごく大きな個性を持っていることによって、苦しんでる女の子でした。音響監督の三間(雅文)さんにも言われたのは、「芯が強い女の子なので、一言一言に重みがあるセリフの言い方をしてほしい」と。最初は初めて過ぎて戸惑う部分もあったんですけど、勉強させてもらいながらやりました。アンナは幼少期から大人まで、時系列としてもいろんなシーンがあったので、そういう声の切り替えはかなり意識しました。 ーー生見さんは普段実写ドラマに出られていますが、どんなところで違いを感じましたか? 生見:ドラマや映画では、いかにナチュラルに芝居をするかを大事にしていたので、そのままいったら、「もっとオーバーに」とディレクションをいただいて。「これやりすぎなんじゃないかな?」と思うぐらいでちょうどよかったので、自分の殻を破る経験ができました。 宮野:僕はアフレコのとき、まだ完成された画ではなかったにもかかわらず、『ヒロアカ』映画の迫力というものをすごく感じました。映像を見せてもらったときに、「これが日本のアニメーションだ!」という圧倒的なパワーを感じたので、アフレコも気合が入りました。僕自身もここに入って、しっかりと個性的なキャラクターとして活躍したいなと思いましたね。 ーー今回は全盛期のオールマイトと瓜二つの容姿を持つ謎の男・ダークマイトが鍵を握る映画になっています。お2人は、オールマイトのような“背中を追いかけたい存在”はいますか? 宮野:ジム・キャリーかな。 生見:えっ、なんでですか? 宮野:似てるって言われるから……っていうのもありますが(笑)。若かりし頃、レッスン時代に、演技とパントマイムの授業みたいなのがあって。ジム・キャリーって、コメディ映画のイメージがあるじゃないですか。でも、そもそもコメディって身体能力の高さとか、お芝居のうまさがないと成立しないところがあるんです。それで、映画『ふたりの男とひとりの女』をじっくり観て、「自分と自分で戦う」というパントマイムを練習していました。 生見:へえ~! 宮野:映画ではジム・キャリーが2重人格の男を演じているんですけど、自分同士で格闘するシーンが見事で。頑張ってマネしていましたね。 ――宮野さんは、実際いろんなコミカルなキャラを演じられることが多いと思いますが、その頃の経験が活きていると感じる瞬間はありますか? 宮野:昔から、自分はテレビやバラエティが好きだったので、その感覚は今でも活きています。コミカルなお芝居をやるときに、「こうやりたい」みたいな芽が、やっぱり自分の中から湧き出てくるんですよ。僕のコメディは、ちょっと刷り込みに近い形で培ってきたものがあるかもしれないです。 ――生見さんはいかがですか? 生見:中学3年生の頃の学校の担任の先生ですかね。すごく尊敬していて、一生大事にしたいと思っている人です。 宮野:素敵。 生見:海外に行ってしまったんですけど、私の活動を応援してくれていて。私、仕事であまり学校に行けていなかったんです。でも同じ目線で話してくれる先生だったから、学校が好きになれました。私が出ている雑誌を買って、表紙の写真をみんなに見せてくれたり。「クラスのみんなのお父さん」みたいな先生で、本当の家族みたいに大事な存在です。 ――先生にもこの映画を観てほしいですね。 生見:たぶん観てくれているんじゃないかな? でも本当に、観てくれたらうれしいですね。