<2017年クルマ業界>現実離れしたパリ協定、総EV化は本当に地球を救う?
「エンジンのみ」から「全車ハイブリッド車」へ
自動車業界で言えば、一刻も早く「エンジンのみ」のクルマを止めて、全車ハイブリッドにすることだ。それは何もプリウスのようなストロングハイブリッドである必要はない。むしろ台数の多い軽自動車やコンパクトカーのエネルギー効率を引き上げることが急務になるだろう。これらのクルマにはコスト制約があるので、現在12ボルトのバッテリー電圧を48ボルトに引き上げて、マイルドハイブリッド化するのが現実的だ。これだけで15%程度はエネルギー効率が上がるはずである。こっちのプランなら新車の全台数の効率を上げられる。それで足りなければ段階的に非電動車を禁止にしていく手もある。ちなみに統計によっては、48ボルトマイルドハイブリッドは電動車に入れられてないケースもあり、まちまちだ。 実は夏以降、欧州メーカーが言っている「電動化」とはこうしたモーター付加型のクルマのことであって、少なくとも2030年までに関しては、化石燃料を一切燃やさないとは言っていない。つまりここ15~20年を前提にすれば「電動化=EV」は間違った認識だ。現実的には「電動化≒ハイブリッド」であり、ごく限られた数のEVがこれに加わる。 世界的に見て飛び抜けているノルウェイの電動化比率は50%。このうちEVだけで見ると20%である。それでも他国と比較すれば驚異的な数字なので政策はどうなっているかと見れば、巨額の補助金によってEVの方が内燃機関モデルより安い。にも関わらず20%である。航続距離・充電時間。充電インフラという3つのネガに対する内燃機関の魅力の高さが伺える。 ちなみに電動化(つまりエンジン+モーター)シェアで見ると、日本は世界第2位で約30%。3位以降は10%以下。世間がEV先進国だと思っているドイツやフランスのEV比率を見ると0.1~0.2%と、イメージと乖離した絶望的な数字になる。むしろ、数字を虚心に見れば、ハイブリッドを普及させた日本こそが電動化先進国である。