「打撃2冠」を狙うヤクルト・村上宗隆の深刻過ぎる“不振” 日本人初「2年連続160三振」だけじゃない不安材料
2番を打ったことも
その「気分転換」の意味を込めての配慮だろうか。高津監督は5日の巨人戦で村上に2番を打たせている。もっとも、通常の2番バッターに求められる右方向へのバッティングや進塁打、送りバントなどの指示は一切なく、全打席ともノーサインだった。ノーサインとは、「自由に打て、全部を任せた」の意味であり、4番バッターの特権とも言える。 「4番の村上が打てず、打線がつながらない切実な事情もあったと思います。『4番の重圧』からちょっとの間、解放してやろうという親心でしょう。でも、普通なら4番バッターの打順を変えるとしたら、5番や6番です。2番は驚きでした」(前出・スポーツ紙記者) 1、2番を任された選手の出塁率がチームの得点に大きく影響してくるのは説明するまでもないだろう。5日の村上はノーヒットだったが、「2番・村上」は高津監督との絆でもあるようだ。 「厳密に言うと、『2番・村上』は今季初めてではありません。4月13日のDeNA戦でも起用されています」(前出・同) ペナントレースが開幕して12試合目だった。村上は一死満塁でまわってきた第4打席で右前適時打を放ち、チームの勝利に貢献しているが、実はこのヒットで記録された1点が今季初打点でもあった。シーズン開幕から53打席目で、だ。「打点がつかない」ということは不振以外の何者でもない。 同試合後、村上が語ったところでは「2番」は野球人生で初めて。また、高津監督が00年に一軍指揮官に就任して以来、村上を4番から外した初めての一戦でもあった。そのことは当然、村上自身も分かっており、「結果を出さなければならない」という強い責任感を持って試合に臨んでいたはずだ。 「翌日も2番で起用されています。初回の第1打席でようやく今季一号アーチが生まれました。村上を4番から外す打順は大松コーチからの進言で、最終的には聞き入れましたが、高津監督は即答できなかったと聞いています」(前出・関係者) 村上の調子が上がり、一時は3番・サンタナ(32)が打率リーグトップ、村上が同本塁打、5番・オスナ(31)が同打点トップとなり、「セ・リーグ最強打線」とも呼ばれるようになった。だが、5月には村上の打撃成績が再び低迷。以後、チームも最下位争いの厳しい状況が続いている。その5月の月間成績だが、打率は1割9分8厘。ただ、長打率では4割9分4厘と高い数値を残している。三振も24試合で28個、典型的なホームランか三振の一発屋状態だった。