不倫、モラハラ、DV……それでも「別れられない」妻たちの本音
転機は夫の収入増と……
恵美さんはワンオペで育児をしながら、太一さんからのモラハラに耐える日々。もちろん何度も「離婚」の二文字が頭をよぎりましたが、そんな中、少しずつですが、状況は変化していきました。 一つは、太一さんが国家資格に合格して、収入が右肩上がりで増えていったことです。経済的に余裕が出てきたことで「この生活を崩したくない」という思いが、恵美さんの中で大きくなっていきました。 もう一つは、恵美さんが40歳の時に、10年ぶりに第2子を妊娠、出産したこと。上の子は娘でしたが、下の子は息子だったので「男の子にはパパが必要だな」と、元気いっぱいに動く息子を育てる中で痛感したそうです。 「夫の収入が上がったこと」と「息子が生まれて男親が必要だと感じたこと」という二つの要素によって、恵美さんは「太一さんからのモラハラに耐えてでも、離婚するより結婚を継続した方が得策だ」という考えに至ったといいます。太一さんの場合は、子どもに対しては直接の暴力・モラハラ行為が見られなかったそうで、その点も離婚を思いとどまった要因でした。 幸い仕事が軌道に乗り、精神的に余裕が出てきたせいか、太一さんのDVはだいぶ減ってきていたそう。ただモラハラは相変わらずでした。恵美さんが何とか見い出したモラハラ回避方法は、「萎縮せず、自分の意見をはっきり言うこと」。恵美さんは何か怒鳴られても冷静に反論するようになり、“強い妻”になることで、徐々にDVはなくなり、モラハラも減ってきたそうです。 とはいえ、恵美さんに太一さんへの感情を聞くと、このような回答が返ってきました。 「結婚前から、夫がモラハラ気質だとわかっていたら結婚しなかった」 「夫と同じくらい自分も稼げていたら、離婚していただろう」 「もし子どもに対しても暴力やモラハラ行為が見られたら、さすがに離婚を選んでいた」 「子どもが成人したら、夫婦二人で生活するのは無理」 「子どもがいなかったら、とっくに離婚している」 ……と、冷めきった言葉がずらり。これまでのひどい言葉や暴力を思うと、再び太一さんに心を開くことは難しいようです。 しかし、それを太一さんは薄々察しており、最近は時々恵美さんに「二人で出かけない?」とデートの誘いをしてくることもあるとか。恵美さんはもちろん断っています。彼は自分が仕事以外の家事・育児など“生活全般のこと”が一切できないため、太一さんは恵美さんがいないと生きていけないと焦り始めている模様。今では夫婦の形勢が逆転してきており、少しずつ実権は恵美さんが握り始めているようです。 これまで太一さんとの「離婚」が何度も頭をよぎりながらも、恵美さんが「別れられなかった」のは、「子どもに経済的な不自由をさせないため」ということが一番の理由。娘が私立中学に進学できたのも、息子に色々な習い事をさせることができるのも、“稼ぐ夫がいるから”だと思っています。もし離婚して恵美さんがシングルマザーになっていたら、子どもたちに今の生活はさせてあげられなかったでしょう。だからこそ、本当は一緒にいるのが苦痛である夫との生活に、恵美さんは日々耐えているのだと話します。 子どもたちが成人した後の夫婦関係は、継続できるのか?離婚するのか? わかりませんが、太一さんとかれこれ15年を共に暮らす中で、「人を変えるのは無理」と心底感じたという恵美さん。「子どもを育て上げるまでは……」というのが本音のようです。