開幕3戦負けなしで2位浮上! 若手を育てながら勝つ、ベガルタ森山佳郎監督の手腕
若手をじっくり育てるフェーズに
今季の仙台は20代前半の選手が多い編成で、この日の先発メンバーも36歳のGK林彰洋と、32歳のMF長澤和輝などベテラン選手はいるが、髙田、石尾、MF工藤蒼生、MFオナイウ情滋と大卒1~2年目の選手がスタメンに多く名を連ねた。ゴールを決めた相良も高卒4年目の21歳だ。クラブは育成年代の指導経験豊富な森山監督に、若手選手を育ててもらいながら勝っていくことを求めている。 こうしたなか、試合に出ている若手選手は自信を持ってプレーしている。ボランチの工藤蒼は昨季、公式戦に1試合も出場できなかった。しかし今季は開幕から先発出場を続け、持ち前のボール奪取能力の高さを活かし、中盤の守備を安定させている。 「『ボールを持った時に前を向け!』と常々言われています。そうした意識を持ってできているので、自分も成長できています」と森山監督の指導を受け、持ち味を活かせるようになってきた。 昨季は18試合・3得点でレギュラー定着とはいかなかった相良も、今季はここまでの3試合で2ゴール・1アシスト、ルヴァンカップでも郷家のゴールをアシストするなど、公式戦4試合全てで得点に絡む大活躍を見せている。 「『自信を持って行け』と言われています。僕らからしたらメンタル的にも乗せてくれます。ミスをしても『後ろの仲間が守ってくれるので自信を持って仕掛けろ』と言われています」と森山監督のポジティブなアドバイスを力に変えている。 若手選手について森山監督は、「『やれる、やれる』と信頼して使っていて、実際やってくれています。かなり若い選手をルヴァンカップで出しましたが、評価としては『自分の武器では通用しているけれど、ちょっと足りないところがある』というところなので、そこを解決できれば十分サブに入れますし、今日サブに入れなかったメンバーも『俺もチャレンジできる』と感じてくれていると思います」と、信頼して起用しており、十分リーグ戦に絡む力があると選手に伝えている。 また、キャンプ中から選手間の競争を煽っている。「キャンプからずっと主力を決めないで最後まで突き通したので、だいぶ若い選手も『あいつができるんだったら、俺も』と思って競争してくれているのかなと思います」と、若手選手にもチャンスがあることを常に示し続けていることが、チームの活気を生み出している。 J2降格の少し前から30歳前後の選手を多く獲得するケースが続いた仙台だったが、ようやく若手選手をじっくり育てるフェーズに入り、若手に自信を与えながら成長させている森山監督。悲願のJ1復帰に向けて地に足をつけながら、仙台は少しずつ前に歩み始めている。 取材・文●小林健志(フリーライター)