【分析】暗号資産市場は拡大しているのか? ドミナンスやビットコイン現物ETFなどのデータから変遷を紐解く
ビットコインETFと市場規模(単位:10億ドル)
暗号資産市場で最も高いドミナンスを占めるビットコインを見ていきます。今年1月には、ビットコイン現物ETFが米国で承認・上場されました。同月ビットコインは前回ATHを付けた2021年11月の価格を更新し、約73,000ドルを超える新たなATHを記録しました。この背景にはマクロ的なものから暗号資産固有のものまで多岐にわたる要因が存在しますが、以下ではビットコインのETF(上場投資信託)に焦点を当てていきます。 上の図を見ますと、ビットコインのATHは2021年に2回、2024年に1回、計3回更新されています。1回目のATHは2021年4月につけた約63,000ドルで、カナダのトロント証券取引所にて世界初のビットコイン現物ETFが上場されて2ヶ月後でした。2回目のATHは2021年11月につけた約69,000ドル [*5] で、米国にて初めて承認・上場されて1ヶ月後でした。 特に2回目のATH時は暗号資産市場のATHも更新されました。上の図で緑の線が始まる部分に矢印で表示したところが、米国初のビットコインETF(先物ETF「BITO」)がNYSE Arcaに上場され取引が開始した日になります。 BITO上場日には10億ドルを超える売買があり、初日売買高が過去2番目にのぼりました [*6] 。カナダにおける世界初のビットコインETF上場後1回目のATHを記録しましたが、米国初のビットコインETF上場後はビットコイン価格も市場全体の規模も過去最大になりました。複数の理由が挙げられますが、今回は市場規模にフォーカスしている点から、ETF市場規模に注目しました。
昨年5月基準に米国のETF運用額は世界の半分以上を占めている
J.P. Morgan Chase社が発刊したGlobal ETF Handbookによると、昨年5月基準に米国のETF運用額は世界の半分以上を占めていることがわかります。 一方でカナダとラテンアメリカはアジア太平洋地域より4倍、米国より20倍以上小さく形成されています。 ビットコインが世界で最も大きいETF市場で上場したことにより、それ以前より多くの取引が予想され、需要の拡大が価格上昇の材料となったと考えられます。 3回目のビットコインATHは今年1月、米国における現物ETF上場2ヶ月後更新されました。 米国初の現物ETFは多くの投資家の注目を集め、上場日には46億ドル越えの取引高を記録しました [*7] 。先物ETFの米国上場および同国において長年却下されてきた現物ETFの承認と上場がビットコインの需要を押し上げ、計3回のビットコインATH更新の追い風となったことは確かでしょう。 今回のレポートは以上となります。 近年の暗号資産市場の拡大に伴い、業界や暗号資産に関して知りたいと思う方々が多くいらっしゃると思い、このテーマを選定しました。暗号資産は金融商品であり、テクニカルな分析も重要ですが、暗号資産のヒストリーを振り返ることで「今どのような資産に投資しているのか」ご自身なりに感じていただいたのではないでしょうか。 ここまでお読みいただきありがとうございました。