「触れる」ポーズで指先の微妙な感触を味わってください。【Dr.高尾美穂のカラダとココロの整え方】
一気に何かをつかみ取る行為では理解しえないセンシティブな世界。感じ取れるかどうかは、人生の豊かさにつながるのかもしれません。
〈触れる〉“触れるか触れないかの指先の微妙な感触を味わってください。”
牛の顔のポーズ、よく知られているヨガのひとつですが、よくよく見ると、ちょっと違いますね。そう、背中で両手の指をカギのように握っていません。指先(あるいは手のひら)が触れるか触れないかのところで重ねているのがわかるでしょうか。 理由があります。 ここでは、手の感覚を研ぎ澄まして、感触を味わってほしいのです。一気に手を握ってテンションをかけてしまってはわからない微妙な感覚――。 そう、触れるって、肉体だけでなく、言葉で心に触れることもある、とてもセンシティブな行為です。琴線に触れる、という言葉もありますね。 つまり、触れるという行為には、「相手(対象)」があるということなんです。相手を知りたい、対象をつかみたい、そんな意識が「触れる」というアクションを起こしているわけです。 ココロの指先も敏感にしておかなければ、大事な機会、大事な時間、大事な人に気づくことができません。敏感でいるためには、自分の中に余白、余裕をもっていなければ叶いません。このポーズは、そのトレーニングと言っていいかもしれませんね。 手が届かない場合はどうすればいいか、ですか? 届くよう、毎日このポーズをとってみましょう。いつか、指先が触れる、その瞬間を楽しみに。
牛の顔のポーズ
両脚を伸ばして座り、右膝を立ててかかとを左ももの外側に置きます。左の膝も曲げ、かかとをお尻のほうに引きます。右手を上げて手を背中に回し、下から伸ばした左手と指先を重ねましょう。深い呼吸をして8秒。左右の手足を替えて行います。1日1回。
撮影・森山祐子 イラストレーション・SHOKO TAKAHASHI 構成&文・越川典子
『クロワッサン』1131号より
クロワッサン オンライン