「まだ質問があります」新型コロナ対応、35分で終わった首相会見
昨年12月に中国・武漢で発生が確認されて以来、世界中に感染が拡大している新型コロナウイルス。日本では1月16日に初めて感染者が確認され、これまでに230人が感染し、5人が亡くなった(厚生労働省まとめ)。そんな中、政府は2月25日に新型コロナウイルスへの対策基本方針を発表。その後に安倍晋三首相が相次いでイベント自粛や全国一斉休校の要請を表明した。これらの要請をめぐっては、各方面で混乱が生じている。政府の対応を国民に説明する場となった2月29日の官邸での記者会見で、安倍首相は何を語ったのか。 【動画】新型コロナ感染抑制へ政府の対応を説明 安倍首相が会見 (2020年2月29日)
「子どもたちの集団感染は防がなければならない」
「感染拡大防止へ今が重要な時期」「国民の健康と安全を守る」「あらゆる手段を尽くす」――。安倍首相はこの日の会見で、こういった言葉を繰り返した。 政府は2月25日に感染拡大防止に向けた対策の基本方針をまとめ、加藤勝信厚生労働相が会見し、公表していた。 前日に出された専門家会議の見解を踏まえた内容で、感染拡大のリスク要因となり得るイベント開催については「全国一律でのイベントの自粛要請を行うことはない」と前置きした上で、実施の必要性を再検討するよう求めていた。 ところが翌26日、安倍首相は一転して、全国的な大規模イベントの自粛を要請。さらに27日夕には、全国の小中高校などに対して一斉に臨時休校することを要請した。 学校の休校措置について、基本方針では「臨時休業等の適切な実施に関して都道府県等から設置者等に要請する」と記していた。 基本方針を発表した直後のいわば「方針転換」。これらはどんな背景や根拠があって出されたものなのか。それがこの日の会見の注目の一つだった。 安倍首相は新型コロナウイルスの世界の感染状況について言及し、発生源である中国のほか、韓国やイタリアで感染者が急増していると述べた。一方で日本の状況については「そこまでの拡大傾向にはないものの、連日感染者が確認される状況」との認識を示した。 そして専門家会議による「これから1~2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際」との見解を掲げ、「何よりも子どもたちの健康と安全が第一。学校での子どもたちの集団感染は何としても防がなければならない。そうした思いで決断した」と説明した。