損保「新種保険の最前線」、「サイバー攻撃」に備える新種保険の中身とニーズ
生命保険会社、損害保険会社問わず、「社会課題解決」が大きなテーマになっている。10月21日発売の「週刊東洋経済」の臨時増刊「生保・損保特集号」は、保険会社の生き残りの条件となった社会課題解決への各社の取り組みをリポートする。 【図で見る】損害保険の種目別の正味収入保険料。「新種保険」の存在感が徐々に高まっている その誌面から、注目記事を紹介。ここでは、自動車、火災、傷害、海上以外のいわゆる「新種保険」について最新の動きをリポート。その前編をお届けする。後編はこちら 新種保険は火災、自動車などの主力商品と比べて歴史は浅いが、ライフスタイルやビジネス環境が変化したことで、従来の保険ではカバーしきれないニューリスクに対応するニーズから生まれた。その数20~30種類にも及ぶという。
デジタル化の進展でデータを活用して個別のリスクを細かく分析できるようになり、特定のリスクに対応できる商品が開発しやすくなったことが最大の理由だ。 日本損害保険協会がまとめた種目別の正味収入保険料の統計によると、2023年度の新種保険は1兆5123億円と前年度比3.8%増、伸び率では種目別トップで業界を牽引している。 新種保険の中で注目を集めるのがサイバー保険だ。データを不正に暗号化し、復元と引き換えに身代金を要求する悪質なランサムウェアは、警察庁調査によると昨年1年間で197件に上った。
あいおいニッセイ同和損保は、15年に「サイバーセキュリティ保険」を販売、19年には総合型商品「タフビズ賠償総合保険」での特約化を実施した。補償機能に加えて事故発生時には24時間365日対応で相談を受けるのがセールスポイントである。サイバーセキュリティ保険は23年度6898件で、5年前と比べて約2.4倍と増加している。 ■サイバー専門部隊が全力対応する保険 同社ではサイバー攻撃は防御困難で「減災」を目指すことが肝要との立場から加入を呼びかけている。完全には防げないことを前提に、早期復旧と被害の最小化の観点から事後対策が重要になるとの考えからだ。サイバー攻撃に対する専門部隊を組成し、加入者からの相談に対応している。