「最も暑い夏」の影響でコメや野菜、果実に高温被害 異常気象の恒常化で急がれる適応策と支援
日本列島は11月中旬になると上旬までの猛暑から一転、各地で今季一番の寒さとなった。四季のうち春や秋がなくなる「二季」になったかのようだ。今年の7~9月の月平均気温は3カ月連続して統計史上最高値を記録し「最も暑い夏」になった。その猛暑があまりに強烈だっただけに忘れそうだが、1月には「10年に1度」の強い寒波が日本列島を襲っている。
日本だけではない。地球規模の気候変動により、世界各地で熱波の一方で寒波が、豪雨の一方で干ばつが観測されている。気象学者はこうした極端な気象は今後国内外で頻発し「恒常化」すると指摘している。 日本の「最も暑い夏」がコメや野菜、果実の品質や収穫量に深刻な影響を与えている。極端な暑さや寒さが恒常化すると、農産物被害も繰り返される可能性が高い。政府は2018年に「気候変動適応法」を成立させ、「気候変動適応計画」を策定。改定しながら国や自治体、事業者に分野ごとの対策を求めてきた。しかし頻発する異常気象に日本の農業はまだ十分に対応できていない。国内産の農産物を守るためにも、高温や低温に対する適応策や農業者らへの支援策が急がれる。
3カ月連続の最高気温から一転冬模様
気象庁は10月2日に9月の平均気温が平年(1991~2020年の平均値)を2.66度も上回って1898年に始まった統計史上最も高くなったと発表。7、8月も過去最高気温を記録しており、7~9月は連続して過去最も暑かった。同庁によると、7月以降の日本列島は地球温暖化に加え、太平洋高気圧の勢力が強くなり、加えて偏西風(亜熱帯ジェット気流)が蛇行して北寄りを流れ、暖かい空気に覆われやすかったという。
10月に入っても日本列島は暑い日が多かった。気象庁によると、気温は北日本でかなり高く、沖縄・奄美地方で高かった。10月の日本の平均気温は平年を0.43度上回り、2月以降9カ月連続で平年より高温が続いた。11月に入っても東京都心で27.5度を記録し、100年ぶりに11月の最高気温を更新した。