豪州との「天国と地獄のW杯予選」に挑む森保Jの”いつメン”招集に見えた“2つの懸念”…左サイド問題の再燃とFW陣への不安
百戦錬磨のベテランに対して、森保監督は心配無用を強調した。しかし、それぞれの所属クラブで中山は3バックの中央、佐々木は3バックの左でプレーし、旗手に関しては指揮官もインサイドハーフでのプレーを最も高く評価して再招集した。 つまり、所属クラブで左サイドバックを務める選手は現状で皆無であり、そのファーストチョイスはFC東京で右サイドバックの控えになった長友となる。 大迫とともに、長くメンバーを固定して戦ってきた“ツケ”と言うべきか。主軸に万が一の事態が起こった場合の“Bプラン”が用意されていない森保ジャパンの実態が、オーストラリアとの大一番を前にして露になりつつあるといっていい。 ホームにオーストラリアを迎えた昨年10月は、システムを急きょ4-3-3に変えてきた日本の戦い方に戸惑いを見せる展開が続いたなかで、試合終了間際に飛び出したオウンゴールで勝ち越した日本が勝利。破竹の5連勝をスタートさせた。 しかし、いまではオーストラリアも日本の4-3-3を十分に研究しているし、大迫や長友をめぐる状況も把握している。森保監督が従来のメンバーおよび戦い方を優先させた場合、センターフォワードと左サイドバックがアキレス腱になりかねない。 過去2大会のアジア最終予選を振り返れば、日本はオーストラリア戦でワールドカップ出場を決めてきた。しかし、いずれも舞台は埼玉スタジアムであり、アウェイにおけるアジア最終予選は2分け1敗と未勝利が続く鬼門でもある。 「過去の対戦でワールドカップ出場を決めたといっても、データが勝たせてくれるわけではない。非常に厳しく、難しい戦いになると思うが、われわれもサウジアラビアに2敗目を喫してからは、毎試合が大一番と思って戦ってきた。何度もプレッシャーを乗り越えてきたなかで、自分たちに自信を持って選手たちには試合に臨んでほしい」 オーストラリアと引き分けても帰国後のベトナム戦で勝利すれば、その瞬間にワールドカップ出場が決まる。しかし、最初から引き分け狙いで臨むわけにはいかない。勝利のシナリオの完成度をさらに高めるためにも、まずは出発直前の19日に行われる、大迫と長友が所属する神戸とFC東京のリーグ戦をしっかりとチェックする。 (文責・藤江直人/スポーツライター)