豪州との「天国と地獄のW杯予選」に挑む森保Jの”いつメン”招集に見えた“2つの懸念”…左サイド問題の再燃とFW陣への不安
その意味で今回は「いつメン」になったのもうなずける。シドニー入り後に不測の事態が起こった場合に迅速に対応するために、ベンチ入り上限のゴールキーパー3人、フィールドプレーヤー20人の計23人を超える27人を招集したのも理解できる。 ただ、特にフィールドプレーヤーの顔ぶれからは不安も伝わってくる。 ヨーロッパからオーストラリアまでは、東南アジアを経由する長距離フライトとなる。今週末の試合を終えたヨーロッパ組は順次シドニー入りし、反町技術委員長によれば「オーストラリア戦の前々日には、ほとんどの選手が集合する計算でいる」という。 27人の内訳は18人のヨーロッパ組に対して国内組が9人を占める。後者に関しては今週土曜日までに所属クラブでの明治安田生命J1リーグを終え、19日夜のフライトでシドニーへ出発。現地時間20日夕方から現地で始動できる。 ヨーロッパ組の合流が遅れるため、キーパーは前回シリーズで招集した川島永嗣(38、ストラスブール)、権田修一(33、清水エスパルス)、シュミット・ダニエル(30、シントトロイデン)の3人に東京五輪代表の谷晃生(21、湘南ベルマーレ)を追加。20日および21日を、キーパーを入れた実戦形式の練習を組める体勢にした。 フィールドプレーヤーに関して、森保監督は原則としてひとつのポジションに2人ずつを招集してきた。しかし、今回はセンターフォワード枠に大迫、前田大然(24、セルティック)、そして上田綺世(23、鹿島アントラーズ)が名を連ねた。 不動の存在だった大迫が右脚に裂傷を負い、今月に入って戦列を離れた。メルボルン・ビクトリー(オーストラリア)に4-3で勝利した、前日15日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)プレーオフで復帰し、2つのゴールを決めた。 延長戦を含めた120分間にフル出場したが、実はまだ抜糸を終えていない。こうした状況を踏まえて、前回シリーズのメンバーに上田を加えた。森保監督が言う。 「大迫については回復状況に加えて昨晩のプレーを見て、その後のリバウンドも確認した上で招集した。しかし、時間の経過とともに疲労がまた違った形で表れ、痛みが出てくることも考えられる。ここからの経過も観察しながら、大迫を含めたメンバーがどのような状況になるのかを見極めて、オーストラリア戦のメンバーを決めたい」 左サイドバックも長友、中山雄太(25、ズヴォレ)の前回メンバーに佐々木翔(32、サンフレッチェ広島)が加わって3人体制となった。昨年11月以来の招集となったMF旗手怜央(24、セルティック)が、前所属の川崎フロンターレや東京五輪で左サイドバックを務めていた点を踏まえれば、実質4人が左サイドバック候補となる。 ここでも長く主軸を担ってきた長友の現状が関係している。 スペイン出身のアルベル新監督が指揮を執るFC東京で、代表に招集されていた関係でキャンプの大半を留守にした長友は公式戦で先発出場を果たしていない。 左サイドバックは左利きの小川諒也(25)が定位置を奪ったなかで、長友は本来サイドアタッカーの渡辺凌磨(25)が抜擢された右サイドバックの控えという位置づけになっている。 「長友に関してはリーグ戦で後半から出場しているし、そのなかでチームを機能させ、勝たせる役割をまっとうしている。ハードに動けることも確認できたので、いいパフォーマンスを練習から発揮してもらい、試合に先発から出られるかを見ていきたい」