「スポーツ庁」新設へ 東京五輪以外にも役割はあるの?
スポーツ行政を総合的に推進する「スポーツ庁」を設置する法律案が5月13日、参院本会議で可決・成立しました。同庁は文部科学省の外局として、10月1日に発足します。一体、スポーツ庁はどんな組織になるのでしょう?
「教育」以外のスポーツ施策も
スポーツ庁の設置について、期待を寄せられているのが2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたスポーツ選手の強化です。2020年の東京大会で掲げられている目標は、「世界ランキング3~5位、金メダル25~30個、総メダル数は70~80個」。 同庁では、各競技団体に強化費を配分する際の中心的役割を担うことになっています。限られた予算の中で成果を上げるため、メダル獲得が有望な種目に重点配分を行うなど、メリハリを利かせた施策が行われるのではという見方もあります。 ただし、「スポーツ庁の役割はそれだけではありません」と、文部科学省スポーツ・青少年局の担当者は説明します。
「もともと文部科学省のスポーツ政策は、『学校スポーツ』『「生涯スポーツ』『競技スポーツ』を中心に実施されてきました。しかし、近年はその範囲内にとどまらず、スポーツを通じた観光による地域活性化や、途上国への体育プログラムの輸出といった国際貢献、健康増進というように、さまざまな形でスポーツが幅広く活用されるようになっています。こういった動きも踏まえ、スポーツに関する施策を総合的に推進できる組織が必要だということで、スポーツ庁の設置が決まったのです」 ちなみに、1964年に開かれた東京オリンピック時には、スポーツに関する省庁を置く話は出なかったそう。同局担当者によれば、1988年の中曽根康弘首相(当時)時代に、スポーツに関する懇談会が開かれ、スポーツ省について検討するという話が出たのが、把握している範囲で最も古い文書なのだとか。
関連部署の一元化は見送り
スポーツ庁は、長官の下に「スポーツ健康推進課」「競技力向上課」「スポーツ国際課」「オリンピック・パラリンピック課(時限)」「政策課」の5つの課を設置。それぞれの目的に応じた施策を進めていきます。 当初、同庁の創設は、各省にまたがるスポーツ関連部署を一つにまとめる構想もありました。今回の創設では見送られたそうですが、一元的に施策を進めるのに支障はないのでしょうか?