代筆屋という設定の妙『光る君へ』2話「代筆仕事は私が私でいられる場なのです」に心揺さぶられる
少女漫画的作品のなにが悪い
正直に告白する。実はNHKの作品制作発表や前宣伝などで「紫式部と道長はソウルメイト」とされているのを目にして(なんじゃそれは)と思っていた。少女漫画的なキラキラした恋愛ストーリーが展開されるのか、ドラマレビュー執筆のお話をお引き受けしたものの、批判的な姿勢で一年通すのは、書くのも読むのもしんどくなってしまわないかとも考えていた。 しかし杞憂だった。初回でドラマとしてこの作品を受け入れる準備ができ、2話目の今回、本役のふたりの芝居の力もあって面白さに拍手した。 懐かしい川のほとりで語らうふたり。 その時の思いを抱いて、嘘をつかず真心を尽くせと代筆屋として客(小平大智)に助言をするまひろ。 身分を偽ったままの再会を密かに思い悩む道長。 観る側は気づいている、ふたりのこの先に6年前の悲劇が横たわることを。しかしどうなっていくのか予想はつかない。 少女漫画的作品のなにが悪い。こんなに面白い大河ドラマを最初から色眼鏡で見ようとしていた自分が恥ずかしい、大反省だ。 次週予告。貴公子たちが集っての「どんな女が好みなんだ」に、これは源氏物語のアレだと立ち上がりかけ「すごーい!まひろさんは漢字がお得意なのね」にヒュンッと肝が冷える。第3話が楽しみですね。 ******************* NHK大河ドラマ『光る君へ』 脚本:大石静 制作統括:内田ゆき、松園武大 演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろう 出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、吉田羊、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則 他 プロデューサー:大越大士 音楽:冬野ユミ 語り:伊東敏恵アナウンサー
文・ぬえ イラスト・南天 編集・アライユキコ
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