代筆屋という設定の妙『光る君へ』2話「代筆仕事は私が私でいられる場なのです」に心揺さぶられる
「お前のおかげで俺はだいぶ賢くなったぞ」
「お上は詮子さまの元にお渡りですって。何年ぶり?」「詮子さま、湯あみをなさったとか」「きゃあ、やる気満々!」。先週の「帝のお渡りが過ぎるのは詮子さまがやり手なのよ」に続き、今週も内裏の女房の皆さんが下世話である。 母となった妻は、性愛の対象ではないという円融天皇(坂東巳之助)。かつてのように愛を語ることさえ許さない。 帝の閨は政治の場でもあるので円融帝のお言葉は全くの的外れではないが。ないけれども。お上、いますこしお言葉にお気をつけあそばして……。 たったひとりの皇子の母に、しかも政界の実力者・右大臣の娘にその仰りよう……為家の影響力とのバランスを取るためとはいえ、閨が政治の場なればこそ完全にミスったのではないか円融帝。 師貞親王(本郷奏多)。クソガキ……いやお元気ありあまるお子様であった頃から全く変わらず、ある意味安心する。しかし痴れ者のおふるまいに、ちゃんと理由があったようでよかった。 「お前のおかげで俺はだいぶ賢くなったぞ」 6年間、ずっとあんな態度でちゃんと聴いておいでだったんですね… 親王は他の奴らは皆逃げ出した、お前は俺の傍を離れなかったと為時(岸谷五朗)に微笑むが、為時が生活のため、兼家に命じられて間者の役目を仰せつかったので傍に居たのだと知ったら、どうなるのだろう。少し、いやかなりこの先が気にかかる。
咎めているのは殺人そのものではない
「高貴な者は自らの手で人を殺めぬ」 平安時代の穢れへの忌避──触穢(しょくえ)を犯した者への厳しい処置を、この先どうするつもりかなあと1話で思ったのだが、父・兼家(段田安則)が息子・道兼(玉置玲央)を思い通りに操る種として使われるとは。 そして彼がここで咎めているのは、道兼が自らの手で殺めたことに対してだ。殺人そのものではない。当時と現代の命に対する感覚の違いはあるかもしれないが、いずれにせよ恐ろしい密談であった。 冒頭のナレーションによると母・時姫(三石琴乃)は既に故人だ。 あの優しい母上を喪ったあと、家族の中で道兼がどれほど孤独を深めていったのだろうと想像する。大丈夫か、道兼。ぜったい大丈夫じゃないな道兼。 父のお気に入りの場所にふたりきりで連れてきてもらい、さぞ嬉しかっただろうに…自業自得とはいえ、1話に続き2話でも彼は報われない。