280psにグランドワゴン…スバル「レガシィ」挑戦が実った2代目の軌跡
サスペンションにはドイツ・ビルシュタインの倒立式ダンパーが奢られていたこともポイントだ。 GT-Bの「B」は、ビルシュタインを意味していたのだ。初代から採用していたMOMOステアリングやBBSホイールと合わせて、インポートブランドをセンス良く取り入れるクルマという印象も加えていた。 ■当時の記憶がよみがえる 2代目レガシィが現役だったころ、筆者はすでに自動車メディア業界にいたので、いくつかの車種に乗った経験がある。
GT-Bの足さばきは欧州産のスポーティモデルを思わせて、たしかに素晴らしかったが、ツインターボはトルクの段つきが気になった。エンジンもサスペンションもまったり風味のグランドワゴンのほうが、長旅向きだと感じたことを覚えている。 2代目レガシィのボディは、初代と比べると全長が80mm、ホイールベースが50mm伸びており、後席空間が拡大していた。それ以上にトピックだったのはデザインで、メルセデス・ベンツからやってきた、オリビエ・ブーレイ氏が手がけた。
日本メーカーのチーフデザイナーが外国人になったのはこれが初めてだが、ブーレイ氏がスバルに在籍したのは3年間で、関わったのはこの2代目レガシィのみ。 ブーレイ氏は、一度メルセデスに戻り、三菱自動車工業がダイムラーグループ入りしたのを機に、今度は三菱自動車のチーフデザイナーとなるが、まもなくダイムラーと三菱自動車の関係が途絶えたことで、再びダイムラーに戻った。 一方のスバルはその後、フィアットやアルファ・ロメオで活躍したアンドレアス・ザパティナス氏をアドバンスドデザイン担当のチーフデザイナーとして迎え入れたものの、こちらも4年後に退任している。
■今も好感を持つ2代目レガシィの走りとデザイン 一連の経緯から、外国人デザイナーは日本のメーカーでは活躍できないというイメージを持っている人もいるようだが、筆者は逆に、メーカーのほうが、外国人デザイナーをうまく扱えなかったのではないかと回想している。 BMWがアメリカ人のクリス・バングル氏を起用してデザイン改革に成功したことは知られているし、オペルの児玉英雄氏、アウディの和田智氏など、海外の自動車ブランドで活躍する日本人デザイナーは複数いるからだ。