夏休み必見!『デューン/砂の惑星/Part1,2』砂漠の中でドレープがたなびく、完璧な映像美に圧倒され…アカデミー賞6部門を受賞したSF映画
◆オーガニックの香り 最初こそ運命に抗おうとするポールだが、アトレイデス家の利権を奪おうとするハルコンネン家の奇襲で父や部下を殺され、母と共に砂漠を彷徨ううち成長。民を率いるものとしての自覚を強めていく。そしてやがて、砂漠の民の娘であるチャニと恋に落ちる。 第一部では恋の予感で終わり、チャニとの恋やハルコンネン家との真の戦いが始まるのはPart2だが、最初の一作だけで、おなか一杯になれるのは超大作! CGや機械類のデザインも素晴らしく、戦闘シーンも迫力だが、あくまで人間ドラマを丹念に描くので、女性にもなじむ作品だ。 最初に話した「砂虫」はすごいし、戦闘機や採掘機のデザインには、常に昆虫など生物の姿が形とられている。SF的要素にむしろオーガニックの香りが在り、実に新鮮だ。
◆ハリウッド映画自体を底上げする名作 日本の子ども向けアニメであった「ロボットや戦隊もの」は、「機械の操作」から「人間の動きとの連動」と言う、マッキントッシュ型コンピューターを予見したような「機動戦士ガンダム」で、世界に躍り出た。 『デューン /砂の惑星』はSFにとどまらず、あらゆるターゲットを魅惑するだろう。 何故なら物語はあらゆる神話に通ずる「貴種流離譚」そのもの。神話、古代史、アーサー王伝説などの要素が詰まっていて、この作品は最初から「古典」なのである。 さて、Part2の成功により、『デューン/砂の惑星』はPart3の製作も決定したようだ。素晴らしいフィナーレの完成を願うばかりだが、まずは第一部、第二部を見て、その世界観を理解してほしい! Part2はDVDも出たが、好評ゆえ上映中の劇場も見つかる模様。夏休みなので是非劇場を探してみては? 最後になるが、女性だけの秘密結社「べネ・ゲセリット」の教母として異様な存在感を放つのはシャーロット・ランプリング。Part2でポールの宿敵として立ちはだかるフェイド=ラウサ・ハルコンネンは、『エルヴィス』のオースティン・バトラーだからびっくり! 20世紀後半から21世紀初頭のハリウッド映画は、メジャー路線を走りすぎ、凡庸で簡単なストーリーが多かったと思う。しかし、最近のハリウッド、いいではないか!とにかく『DUNE/砂の惑星』はハリウッド映画自体を底上げする名作。この夏休みに必見です!!!!
さかもと未明
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