代表復帰した33歳・岡崎慎司が背番号「9」剥奪を「ありがたい」と言う理由
そして、ストライカーとしての自分を取り戻す意味で、4年間所属したレスター・シティからの退団を決意。日本代表で「18番」を背負い、仲間たちの戦いをスタンドから見届ける逆境が重なったいま、岡崎は自身の原点でもあるダイビングヘッドの精神へ回帰することを決めている。 「もう一度海外で結果を出して、正真正銘の点取り屋として戻ってきたときに、自信をもって『9番をつけたい』と言えればいい。その意味でも今回(の代表復帰)は自分にとってチャンスだし、そういう気持ちをシンプルに出していくことが、森保さんが言う経験につながると思う」 森保監督は岡崎と川島にプレーヤーとしてだけでなく、ともに3度のワールドカップに出場したキャリアで刻んできた、濃密かつ稀有な経験も後輩たちに伝えてほしいと期待している。そして、言葉ではなく33歳になってもより高みを目指す自身の姿で、魂のバトンを託したいと岡崎は意気込んでいる。 「自分の方から何かを教える、というつもりはまったくない。海外でプレーするにはああだ、勝つためにはこうだと僕が言うことが、経験を伝えることじゃない。僕自身がチャレンジし続けること、いま現在よりもうちょっと成長した自分を求める姿が、若手にとっての経験になると思うので」 トリニダード・トバゴ戦から一夜明けた6日午前に、ベンチ外やリザーブの選手たちは豊田スタジアムでゲーム形式の練習を行って汗を流した。約1時間におよんだメニューを終えた岡崎は、居残りでシュート練習も消化。チームは夕方の便で、9日にエルサルバドル代表戦が行われる仙台へ移動した。 「ベテランと若手の融合、という言葉がロシア大会後によく言われているけど、実力のある選手が最終的に残っていくのが日本代表だと個人的には考えている。そこは若い選手もベテランも一緒だし、お互いにいいところを出し合いながら、強くなっていくのが本来の姿だと思うので」 ピッチに立つチャンスを得たときには、2017年3月のタイ代表戦を最後に途絶えているゴールを貪欲に、そして泥臭く狙っていく。新シーズンでもヨーロッパでのプレーを希望し、オファーを待っている岡崎は、自身のストロングポイントをすべて解き放つ瞬間を心待ちにしている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)