【毎日書評】覚えておけば損しないフリーランスの「会計財務」の基礎知識
お金をもらうことを遠慮しない
アートに代表されるクリエイティブワークに携わりながらも、「お金をもらうことにどこか引け目を感じる」という方もいらっしゃるかもしれません。たしかに、自分で描いていれば費用は実感できないでしょう。しかし、かかった費用と価値は本来は関係ないのだと著者は述べています。 価値のあるものを、価値を感じてくれる人に適正な価格で提供することは正当な経済活動で、経済的な自立を確保するための大事な手段です。(21ページより) そこまで気負わないにしても、自分がつくったものに価値を感じてもらい、お金を払ってもらうのは気持ちのよいもの。しかも、作品を通じて喜んでもらえるのならなおさらです。 多くの方は誰かに喜んでもらう、楽しんでもらうことを目的に活動されていると思います。 その喜びが価値ですので、かかった費用にかかわらず、相応のお金をいただくことは正しいことなのです。(22ページより) アートに「定価」をつけることはできませんが、きちんと価値を理解してくれる人と出会ったとしたら、相応のお金をいただくのは自然なこと。通常の商売で当たり前にやっていることは、アートの世界でも同じだということです。 そもそも商売もアートも、お金が回らなければ活動の継続自体が困難になってしまいます。そういう意味でも、お金のことを考えるのは決して卑しいことではないのです。(21ページより)
自分も「商売人」であると実感せよ
お金をいただいて何かをする行為を、商い、商売、商取引などといいます。会社にお勤めすると、毎月決まったお給料をいただくので、実感が持ちにくいかもしれませんが、これも働いた結果に基づいてお金をいただいているものですので、実は立派な取引で、雇用契約という契約に基づく行為です。 「価値を提供するからお金をいただける」のであって「価値がある(ように見える)からお金がもらえる」のではありません。 少し言い回しを変えただけですが、これは大事な違いです。(24ページより) いずれにしても、このように「お金をいただいてなにかをする」行為を、会計では「取引」と呼ぶわけです。そして会計は、この「取引」を記録する方法であるということ。(24ページより)