やってみよう、見守りや防犯、体の不自由さも補うスマートホーム化。
自宅のバスルームがスパ温浴施設のように。
人感センサーを設置し、照明の点灯はもちろん、防水対応のスピーカー(1)とLEDライト(2)により自動的にヒーリング環境に。3は載るだけで計測、記録をするスマート体重計。
あらゆる家電を音声でコントロール。
Googleやアレクサ、環境センサーなどと連動させたスピーカー。照明・テレビ・エアコン(1)、音楽(2)、室内CO2濃度(3)を声で操作・調節。
毎日定時に一定量、愛猫の食事を提供。
猫が食事をすると給餌器に設置した人感センサーとカメラが感知、ダイニングのスピーカーから音楽が流れライトが点灯、さらにモニターで様子を表示する。
玄関口は完全キーレス。防犯や来客対応も万全。
スマートドアベル(1)と人感センサー(3)で、玄関前に人を察知したり来客が呼び鈴を押すと居間のスピーカーに通知、モニターに姿も映す。2は解錠用の指紋認証パッド、4はスマホをかざすだけで解錠できるNFCタグ。
定番化しつつある、スマート掃除ロボット。
スマホの位置情報と連動させれば、家を離れると自動で掃除を開始し、終わると充電ドックに戻る。ごみ収集や水拭き、モップ洗浄&乾燥まで行う機種も。
料理中も音声で操作、モニター付きスピーカー。
YouTubeで料理動画を見たり、玄関の来訪者の画像確認もできる(1)。またレンジ上の人感センサー(2)でレンジ前に人がいなくなると、換気扇が止まる。
起床から睡眠時までスマホ管理。 睡眠の質向上にも役立つ。
右・設定した起床時間に合わせて自動で開閉する電動ロールカーテン。左・ベッドマットの下に設置するスリープセンサー。睡眠時の心拍数や呼吸数などをモニター、記録とデータ解析まで行う。
見守りや防犯、体の不自由さも補う、スマートホームが担う役割とは。
高齢の親の生活も保全。安心感が得られる毎日に。
藤川さんは妻と、現在91歳の母と同じ家で暮らしている。 「同居とはいえ母は主に自分の部屋で過ごしているため、プライバシーは保たれています。ただし高齢なので終日の見守りは必要。母が自室で使用する家電をスマート化して私のスマホなどに通知が来るようにしたり、喉や肺の健康のためには部屋の湿度管理が重要なので環境センサーも置いています。また、トイレや洗面所にセンサーを設置して使用状況がわかるようにしているから、中で何かが起きてもすぐ対応できる。こういったスマートデバイスは遠隔操作もできるので、別居している場合でももちろん使えます」 身体機能が衰えるのは、親世代の話だけではない。自分自身もやがて歳をとれば体は弱くなってくるし、また藤川さんのように病気や事故などで以前のようには動けなくなる状況もあり得る。そんな不自由さを補ってくれるのもスマート製品だ。今後、介助の手が不足する社会も想定して検討しておくのは一考かもしれない。 「私は自分自身が身体障害の当事者になったことで身の回りのスマート化がはかどりましたが、ただ便利なだけでなく、この体でも自分らしく楽しい生活が送れているのも、スマート製品のおかげだと思っています」 また藤川さん宅の玄関は、階下まで移動しなくてもいいようにとスマートロックや人感センサーなどを設置したが、併せて防犯対策にもなっている。 「玄関ドア前に立った人を検知すると、ダイニングにあるスマートスピーカーで来訪を通知。同時に、モニター付きスマートスピーカーに玄関カメラの様子が映されます」 このように、ひとつの目的のみではなく、デバイス同士を連動させることでさまざまな事態に備えられるのもスマート製品の強み。とはいえ、何でも連携できるわけではないので、製品の組み合わせにも制約があるのが現状だ。 「明るい話題としては、『Matter(マター)』という、これからのスマートホームの共通国際規格が作られました。これにより、従来はメーカーごとに異なっている通信方式やIoTデバイスが一貫した規格に統一されます。いまはまだすべてのデバイスが導入・対応しているわけではありませんが、将来的にはよりスマートホームの利便性と安全性が高まると思います」 スマートデバイスを活用するためのサイトを運営する藤川さんは、デジタルに疎い高齢者層こそ、スマート化によって暮らしが豊かになるという。 「いまはスマートホーム実践までをサポートする相談サービスを行っています。今後の夢としては、セキュリティなどの問題から課題は多いのですが、スマホだけをお預けしてもらえば、後はすべてこちらでセットアップしてからお返しし、すぐにスマート製品が使えるようになるようなサービスもできればと思っています」