相続登記を自分で手続きするには? 必要書類や費用、デメリットや注意点を解説
4. 相続登記を自分で行う際の見落としがちな注意点
登記漏れ以外にも相続登記を自分で行うときに見落としがちな注意点がたくさんあります。代表的な注意点をいくつかあげてみましょう。 4-1. 必要な戸籍謄本がすべてそろっていない 相続登記には亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本や改製原戸籍も含みます)が必要となります。転籍(本籍地を変えること)を繰り返していたり、結婚や離婚にともなって何度も本籍地が変わっていたりする場合には注意が必要です。必要な戸籍謄本がすべてそろっていないと相続登記はできません。 4-2. 登記簿上の住所と死亡時の住所が違う 亡くなった人の登記簿上の住所と死亡時の住所が異なる場合には、住所の繋がりを証明する書類が必要となります。亡くなった人の住民票の除票に前住所として登記簿上の住所が記載されていれば良いですが、住所を転々としている場合には戸籍の除附票や改製原附票を取得しなければいけません。戸籍の附票は、前述した広域交付制度の対象になっていないので、本籍地の市区町村の窓口で取得する必要があります。相続登記を申請する前に登記簿謄本(登記事項証明書)を取得して登記簿上の住所を確認してみましょう。 4-3. 自筆証書遺言の検認を受けていない 自筆証書遺言に基づいて相続登記を行う場合には、その前提として家庭裁判所で遺言の検認を受けなければなりません。検認とは、遺言書の内容を明確にして偽造変造を防止するために家庭裁判所において相続人の立ち会いのもとで遺言書を開封する手続きです。 検認を受けていない遺言書では登記ができませんので注意しましょう。なお、公正証書遺言と法務局における遺言書保管制度を利用した自筆証書遺言の場合には検認は不要となります。
5. 相続登記を自分で行う場合の流れ
相続登記を自分で行う場合の大まかな流れや必要書類は以下のとおりです。必要書類の取得費用や登録免許税についても簡単に解説します。 相続登記を行うまでには大きく4つのステップがあります。 5-1. ステップ1:必要書類の準備 相続登記には、申請書のほかにさまざまな添付書類が必要です。詳しくは後述しますが、戸籍謄本や住民票などを市役所や区役所で取得し、相続人間で分割協議をした場合には遺産分割協議書を作成する必要があります。 5-2. ステップ2:申請書の作成 必要書類がすべて整ったら申請書を作成します。申請書の書き方は細かくルールが決まっており、必要な事項が過不足なく記載されている必要があります。申請書は提出時にチェックをしてもらえるわけではないので、不備があると後日修正を求められたり、申請自体がやり直しになったりすることもあります。 5-3. ステップ3:法務局へ申請 登記の申請方法には以下の3つがあります。 1. 法務局へ出向いて申請書類一式を窓口で提出する方法(窓口申請) 2. 申請書類一式を郵送で送付する方法(郵送申請) 3. インターネットを利用して申請データを送信する方法(オンライン申請) オンライン申請には電子署名や電子証明書が必要になるため、一般の方が相続登記を自分で行う場合には窓口申請か郵送申請の方法になるでしょう。 5-4. ステップ4:登記識別情報通知(権利証)の受領 申請書や必要書類に不備がなければ、申請から1~2週間で登記が完了し、登記識別情報通知が交付されます。これが一般的に権利証と呼ばれる大切な書類です。登記識別情報通知を受領し、登記簿謄本(登記事項証明書)で名義が変わったことを確認すれば相続登記は完了となります。