組織のミドルエイジが身に付けるべきは「若手を生かすファシリテーション術」 チームプレーを成功させる「間のつかみ方」とは
これは自分が高座に上がった時に、お客さんの反応をつかむ感覚を研ぎ澄ます訓練。毎日一緒にいる身近な人を心地良くできないやつが、初めて会ったお客さんを気持ち良くできるわけがないですから。 もちろん最初に師匠方の好みなど基本的な情報は教えてもらえますけど、それを実践するのは自分です。落語だって同じ話であっても、プレーヤーによって面白かったりつまらなかったりする。その差が生まれる要因の一つが、間をつかむ力にあるわけですね。
大喜利で若手を生かす2つのコツ
そういう間をつかむ力は、ファシリテーションにおいても重要です。全体を俯瞰で見ながら、上手にツッコミを入れられる人がファシリテーション上手なのだと思いますね。 僕は「笑点 特大号」の「超若手大喜利」で司会を務めていますが、あれは団体で漫才をやっている感覚なんですよ。 司会はいわばツッコミであり、「面白くないボケをどう面白く見せるか」が役割。6人の若手が面白くなるかどうかは司会者の腕次第ですから、後輩たちはのびのびやってくれればいい。 じゃあ、司会者として後輩たちをどう生かすのか。
まずは相手のキャラクターを知ることです。この人はいじったら面白いのか、それとも立てたほうが面白いのか。相手が面白く見える方法を模索します。座り位置もまた、それぞれのキャラクターを生かすことを考えて決めています。 大喜利の場合、司会者から離れるほどキャラが濃くなっていく席順が基本。司会者から近い席にいる人は振りの役割であり、一番遠い席に座っている人が大ボケというのが常套手段です。 最初のあいさつにしても、一番手がぶっ飛んだボケをしてしまうと、次の人がやりにくいし、お客さんも引いてしまう。だからスタンダードに始めて徐々にキャラクターを濃くして……というように、グラデーションを意識した座り位置にしていますね。
あとは、いかに緊張を解きほぐすか。事前に楽屋で雑談をしながら、「とにかく何をしてもいい。絶対に全部、オレが返すから」と伝える。 そうやって、「兄(あに)さんがどうにかしてくれるだろう」と、若手が思い切ってやれる状況と信頼関係を作ることを意識しています。