その症状、食物アレルギーかも? 対処法と予防法を医師が解説
食物アレルギーの治療
米食品医薬品局(FDA)が認可した比較的新しいピーナッツアレルギーの治療薬に「パルフォルジア」があり、ガスリーさんが小さい頃にこの薬が存在していたら彼女の症状は変わっていたかもしれない。この経口薬を使った免疫療法では、微量のピーナッツプロテインパウダーを徐々に増量しながら投与することで子供の免疫系に耐性をつけさせる。多くの医師が大人にもこの治療を行っていますが、この治療は早く開始すればするほどいい結果が得られます、とグプタ博士。また、重篤なアレルギー反応を予防する方法やアレルギーを改善する方法など、さまざまな興味深い研究が行われているという。 ・免疫療法 皮膚にパッチを貼る方法。舌下療法、および経口療法がテストされています、とグプタ博士は話す。 ・マイクロバイオーム 腸内細菌が食物アレルギーに影響を与えるという考えは徐々に広まりつつある。プレバイオティクスやプロバイオティクス、さらに糞便移植療法で腸内細菌に変化を与えることで改善が見込める。 ・生物学的製剤:ゾレア(オマリズマブ)やデュピクセント(デュピルマブ)といった湿疹や喘息の治療薬は、食物アレルギーへの治療効果が期待されることから研究が進められている。 決定的な治療法がないことから、アレルギー専門医は食物アレルギーの人にエピネフリン自動注射器を常に携帯するよう勧めている。エピペンやアウヴィQなどのエピネフリン自動注射器は、太ももの外側に注射すると症状が緩和される。「この方法は安全で即効性があります」とグプタ博士。ただしこのような注射をしたあとでも、診断と経過観察のために医師の診察を受ける必要がある。 近くに病院があると分かっていたこと、冬服を重ね着していて太ももに簡単に注射できない状況だったことから、ガスリーさんはスープを食べた後、通常なら使用する自動注射器を使用しなかった。病院の緊急救命室でエピネフリンとステロイドの点滴を受けた彼女の症状はすぐに落ち着き始め、数時間以内に退院したという。(ただしグプタ博士は、症状が急速に悪化する恐れがあるため、このケースのようにエピネフリンの投与を遅らせることはおすすめしないと話している。) 自身のピーナッツアレルギーをきっかけに、栄養士を目指して定時制の学校に通い始めたガスリーさん。さらに彼女は、アレルギーを持つ人々のために「フーズ・ウィズ・グレース」というブログも開始。いっぽうで、彼女はアレルギーに自分の人生を制限されないという強い意志を持っているそう。 病院を出た彼女はAirbnbで仮眠をとったのち、彼と一緒にギフト券が使えるレストランに食事に出掛けた。「本当に楽しみにしていました。病院で何時間も過ごしたあとだったので、何か楽しいことをしたかったのです」とガスリーさん。レストランの夕食を楽しんだ彼女だったけれど、焼き菓子にピーナッツが紛れ込む可能性があるためデザートは諦めたそう。