その症状、食物アレルギーかも? 対処法と予防法を医師が解説
食物アレルギーの症状
ガスリーさんのように、アレルギー反応の多くは食べ物が体内に入る入り口である口や喉の違和感から始まります、と説明するリウ博士。彼女の上気道に放出されたヒスタミンは、すぐにくしゃみと鼻水を引き起こした。ヒスタミンは血管を拡張させるため、ガスリーさんも副鼻腔が腫れ、皮膚にも作用してじんましんが出た。アレルギー反応は消化管や神経系に作用することもあり、腹痛、吐き気、嘔吐、下痢、気分の変化、意識障害などの症状が出る場合もある。 もっとも危険なのは、アレルギー反応によって引き起こされた腫れが気道を狭くして呼吸困難に陥ること。また同様に深刻なのは、血管の拡張によって血圧が急激に下がり、心臓や重要な臓器に十分な血液の供給ができなくなる場合。アナフィラキシーとして知られるこれらの極端な症状は、すべてのアレルギー反応で発生するわけではない。しかし発生した場合は死に至ることもあり、実際アメリカでは食物アレルギーが原因で毎年約150人が死亡しているという。
食物アレルギーの検査
食物アレルギーが疑われる人はアレルギー専門医の検査を受けるべきだと話すグプタ博士。診察時に過去のアレルギー症状について尋ねられるため、食べた物と症状の記録をとっておこう。多くの場合、検査ラボで行う血液検査、もしくはアレルゲンと疑われる物質を皮膚に刺すまたは引っ掻く皮膚テスト(経皮テスト)のいずれかを受けることになる。偽の陽性率が高いため、医師は反応歴のある食品のみを検査するはずです、とグプタ博士は説明する。 これらの検査で最終的な答えが得られなかった場合、アレルゲンが疑われる食物を微量に食べて、その反応を観察する食物経口負荷試験を受けるか聞かれることがある。このテストは、実際にその食物にアレルギーがあると危険が伴うため、医師の管理下でのみ行う必要がある。これらのテストによって食品アレルギーではなく不耐症が判明する人も多く、牛乳やほかの乳製品にラクターゼ(乳糖分解酵素)を滴下し厄介な糖の分解を助けるなど、特定の予防策を講じることでその食品を楽しむことができるようになることもある。 またガスリーさんのようにアレルギーが判明した場合、アレルゲンの食物を確実に避けることが必須となる。重度のアレルギー反応にはエピネフリン自動注射器による治療が必要で、その後は通常救急室で経過観察を受ける。そこまで重度ではないアレルギー反応の場合(反応が皮膚など体の一部に限定され、呼吸や心臓に影響がない)、ベナドリルなどの抗ヒスタミン薬で効果的に治療できることも多い。 とはいえ、過去の反応が軽度だったからといって、この先起こる反応も同じように軽度であるとは限らない。食べた量や最近病気になったか、または運動をしたか、月経周期のどのあたりにいるかなど、さまざまな要因がアレルギー反応に影響する。月経周期との関連についてはホルモンの影響が示唆されており、子供の頃はとくに男性のほうが食物アレルギーになる可能性が高いけれど、大人になるにつれ女性のほうが食物アレルギーになる可能性が高まるという。