もはや「S&P500だけ」投資では安心できない!「金利のある世界」で資産を増やす「新しいお金のルール」
日本銀行がマイナス金利政策を解除したことで、17年ぶりに「金利のある世界」が訪れようとしている。著書に『金利で損しない方法、教えてください!』がある、ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏によれば、金利上昇によって「投資のルール」も大きく変わるという。「インデックスファンドをコツコツ積み立てる」が唯一の正解ではなくなるという今年、私たちはどう対応すればよいのか、ウエノ記者が聞く。 【一覧を見る】運用資産1億円の投資家が保有する115銘柄を一挙公開…!
「唯一の正解」と思い込むのは危険
深野:ここ数年で「マネーリテラシー」という言葉が頻繁に取り上げられるようになりましたよね。投資意識が高まり、インデックスファンドへの積み立て投資を行う人も増えました。 ウエノ:はい。僕も新NISAを使って投資を始めました。僕の周りにも「YouTube動画で投資の勉強をしている」という人が多いですね。 深野:もちろん投資に興味を持つのはいいことなのですが、私は今の状況を見ていると懸念もあって。それは、マネーリテラシーという言葉を誤解している人が増えていることなんです。 ウエノ:マネーリテラシーの高い人って、なんとなく「余計な浪費を抑えて、インデックスファンドなどでコツコツ積み立て投資をする」というイメージがありますが……。 深野:それも一つの正解だと思いますが、問題なのはそれを「唯一の正解」と思い込んでしまうことです。SNSで金融情報を得る人が増えていますが、それだけでは考え方がむしろ偏ってしまう危険性があります。
「マネーリテラシーの高い人」の定義は?
深野:例えばここ数年は、アメリカの株価指標「S&P500」に連動したインデックスファンドや、eMAXIS Slim全世界株式(通称オルカン)への投資が人気ですよね? その投資自体は間違いではありませんが、オルカンやS&P500を過信するのはダメ。 なかには保有する金融資産のほとんどが「S&P500だけ」なんて状態にしている人もいますが、そういう人ほど、暴落時には含み損のショックに耐えられず、“狼狽売り”をしてしまう危険性が高くなります。 ウエノ:たしかに、8月の暴落では投げ売りした人の声をSNSで見かけました……。投資に前のめりな人ほど、リスクをとりすぎている、と。 深野:私なりにマネーリテラシーの高い人を定義すると、「自分のお金を適材適所に置ける人」です。何も考えずに、「みんなが買っているから」という理由で金融商品を選び、投資に全精力を傾けてしまう人は、マネーリテラシーが高いとは言えません。 ウエノ:僕も著名な投資家の推奨銘柄を鵜呑みにして株を買ったことがあるので、耳が痛いです……。 深野:特にこれから先は、金利の変化を踏まえて、「正しいお金の置き方」を考えなければいけません。今まで通用していたお金の増やし方は、あくまで「低金利時代が長く続いたゆえのセオリー」にすぎません。むしろ今後は、その考え方をベースにしていると、大きく間違える危険性を孕んでいるのです。