もはや「S&P500だけ」投資では安心できない!「金利のある世界」で資産を増やす「新しいお金のルール」
「お金のルール変更」に鈍感でいるリスク
深野:それは、リスクを取らなくてもお金が増えたからです。当時は株より金利を見ていた気がしますし、むしろ「株なんてやるヤツはろくなもんじゃない」なんて言われていましたから。だから日本人には長らく「預貯金でお金を増やす」という常識が染みついていたのです。しかし、その悪影響もありました。 ウエノ:何でしょうか? 深野:それは、低金利時代になってから「投資で運用」という選択肢を取れなかったことです。1990年代後半はまだしも、2000年以降の「金利がない世界」になってからもうまくシフトチェンジできなかったんですね。 ウエノ:だから上の世代には投資をしない人が多かったんですね。私の父母の世代を見ると「株は怖い」というイメージを持つ人が多いように思います。 深野:これが金利の変化に鈍感でいることのリスクです。その後、低金利は超低金利となり、その状態が長らく続き、政府が「貯蓄から投資へ」と言いだしてもなかなか意識が変わることはなかった。 意識が変わり始めたのは、物価の上昇が鮮明になった2023年以降といっても過言ではありません。そして、ようやく意識が変わり始めたと思ったら、今度は逆に金利が上がりだした。 ウエノ:今度は反対に、低金利時代の常識を変えないといけないんですね。 深野:このように、金利上昇をトリガーにした「ルール変更」を知らないことは大きなリスクになるでしょう。だからこそ、これからの時代は「金利がある世界のルール」を踏まえたうえで投資を行うのが、日本人の急務でもあると思うのです。 ウエノ:金利を知らなきゃいけないって意識がより強まりました……。 深野:とはいえ、「金利のある世界」の投資のセオリーは何もハイリスクを強いるものではありません。むしろ、金利のない世界よりも、我々一般庶民にとっては投資で資産を増やしやすくなります。重要なのは「適材適所にお金を置く」こと。これを忘れないでください。 ウエノ:肝に銘じます!
深野 康彦(ファイナンシャルリサーチ代表)