もはや「S&P500だけ」投資では安心できない!「金利のある世界」で資産を増やす「新しいお金のルール」
「お金の常識」はつねに変化している
深野:ここで少し、昔話をさせてください。実は日本でも金利が上がり、高金利時代がありました。それが1980年代半ばから90年代初頭のバブル期です。では、その頃の日本人はどのような「お金の常識」を持っていたと思いますか? ウエノ:金利が高いのだから、銀行に預けているだけでもお金が増えたってことですよね? 深野:ええ。当時の私は金融業界の新人でしたが、貯金だけでも随分とお金を増やすことができました。ピーク時には郵便局(現ゆうちょ銀行)の定額貯金でなんと8%の金利がついていましたから。当時は100万円を10年間定期預金に預けておくだけで、2倍強に増えていたのです。 ウエノ:100万円が10年で200万円に! それならみんな預貯金をしますよね。思い返すと、僕の母親もいろんな銀行にちょっとずつ定期預金を持っていた気がします。 深野:その時代は、元本保証の商品を利用して金利で手堅くお金を増やすのが“正解”だったんです。銀行や郵便局の預貯金だけでなく、国債もその一つでした。 1990年当時は、10年国債(長期国債)で「ゴールデン8(エイト)」という俗称の国債がありました。これは「利回り8%の国債を買ったら絶対に失敗しない」という意味でゴールデン8と呼ばれていたのです。 ウエノ:利回り8%だなんて、今では考えられないくらい高いですね! 深野:当時はバブル景気末期。日銀が利上げをして、1990年度には長期金利が約8%まで上がっていたんですね。今でもよく覚えているのですが、90年10月に発行した国債は表面利率7.9%だったんです。 私もFPの仲間内で「買うか!?」「いや、ゴールデン8の法則があるから、8%台に乗るまで待とう」などと話していました。結局、その7.9%がピークで買いそびれてしまったのですが(笑)。 ウエノ:今は株の値上がりや配当利回りを注視する人が多いけれど、それと同じぐらい、当時の人は金利の変化に敏感だったんですね。